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Kyoritsu Biyo Scrap(KBS)

麻酔のリドカインの作用機序や副作用などについて美容外科医が解説

公開日:2022年03月06日(日)
最終更新日:2022年03月14日(月)

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リドカインのアンプル
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美容整形は自分の美しさをより引き立て、コンプレックスを解消することで、若くて美しい理想の自分になることができます。

今よりもっと前向きに、一度きりの人生をより幸せに生きていくための素晴らしい治療手段の一つです。

でも、美容整形の治療を受けるにあたっては、

「美容整形の治療を受けたいけど、痛みが心配・・・」

「顔や体を綺麗にしたいけど、手術はやっぱりちょっと怖い・・・」

といった恐怖心や不安から「治療に興味はあるけど、あと一歩が踏み出せない!」という方が多くいらっしゃいます。

患者さまが痛みを感じずに、リラックスした状態で治療を受けていただけるよう、当美容外科クリニックでは「リドカイン」に代表される皮膚表面麻酔薬から、全身麻酔に至るまでの医療用麻酔薬を一式用意しています。

これは、患者様が「安全・安心」に治療を受けていただけるように痛み軽減のためのきめ細やかな配慮をするためです。

今回のコラム記事では、この麻酔薬である「リドカイン」を使用するとなぜ痛みを感じないのか、その副作用や使用後の注意点などについて美容外科医が詳しく解説していきます。

 

リドカインとは?

リドカインの化学式

リドカインは、1943年に発見されてから約80年もの長い間、ずっと使われ続けている歴史のある医療用麻酔薬です。

商品名は「キシロカイン®」という名前がつけられています。

麻酔薬として用いられるリドカインが使用されているのは、美容整形の領域だけではありません。

虫垂炎やがんを取り除くための外科的手術、骨折時に骨をつなぎ合わせるための整形外科的手術など、リドカインは医療現場の最前線で今もなお使われ続けている麻酔薬です。

これは、その効果と安全性が世界的に認められているということを意味します。

リドカインの作用機序はJens Christian Skou(イェンス スコウ)という研究者によって解明され、ノーベル化学賞のきっかけにもなっています。

リドカインは副作用の頻度も少なく、80年以上と使用されてきた歴史も長いため安心して使用できる麻酔薬です。

麻酔は大きく分けて「局所麻酔」と「全身麻酔」の2つの方法に分けられます。

 

まずは「全身麻酔」についてです。

 

全身麻酔はその名の通り、中枢神経に深く作用することで全身を無痛状態にすることをいいます。

全身麻酔では、患者さんは完全に意識がない状態で痛みも感じず、全身の筋肉すら緩んで眠っている状態です。

呼吸をするための筋肉も緩んでしまいますので、全身麻酔を使用する際には必ず人工呼吸器を使用します。

血管から直接麻酔薬を投与することに加えて、麻酔作用のあるガスも同時に送り込みながら人工呼吸管理をしながら行う麻酔のことです。

リドカインの全身麻酔を使って施術を行うときは、胃の中に食べ物や飲み物が残っていると、麻酔中に吐いてしまい、それが気管に入ると肺炎になってしまう可能性がありとても危険です。

そのため、施術前には食べ物と飲み物の時間の制限をします。

また、喫煙は、手術後の咳や痰が増えることで傷の痛みや肺への悪い影響を及ぼします。

傷の治りにも大きく影響しますので、施術が決まったら禁煙をお願いすることもあります。

 

次に「局所麻酔」についてです。

 

局所麻酔は、末梢神経に作用して特定の部位だけを無痛状態にすることをいいます。

塗り薬や貼り薬によって、決められた範囲に絞って麻酔効果を発揮させることができるため、患者さんは意識がある状態でも、全く痛みを感じることなく治療を行うことができます。

リドカインには血管拡張作用があるため、血管内にすぐに吸収されてしまって使用した部位に薬が留まることが出来ないことがあります。

つまり、リドカインのタイプによっては効果持続時間が短いという短所があります。

また、すぐ血管内に吸収されてしまうということは、血液を通じてリドカインが全身に巡ってしまうということを表します。

限りなく副作用の確率は低いですが、全身性の副作用の確率をわずかながら上げてしまうというデメリットもあります。

そのため、こうしたリドカインの効果を最大限に発揮して、かつ全身性の副作用を防ぐためにアドレナリンやフェニレフリンといった「血管収縮薬」が一緒に配合されているタイプのリドカインが開発されました。

血管を一時的に収縮させることで血管が細くなり、リドカインが血中に移行するスピードを抑えることが出来るようになりました。

こうすることで、作用部位にリドカインが長くとどまることが出来るようになり、効果も長続きしながら全身性の副作用も防ぐことが出来る新しいタイプのリドカインが誕生しています。

 

リドカインが痛みに効く理由

神経細胞のイメージ

ここでは作用機序について解説します。

リドカインが痛みに効く理由は、薬効として痛みの神経伝達に作用する機序を持った薬剤であるからです。

人間の身体には数えきれないほどの神経が張り巡らされていて、全てネットワークのように互いに繋がっています。

ヒトは痛みだけに限らず、触覚、視覚、味覚、嗅覚、聴覚といった五感など、神経から感じ取った全ての刺激を電気的な信号として脳に伝達します。

こうした電気信号を脳が受け取ることによって、私たちは初めて「痛み」などの感覚を感じることが出来るようになっています。

神経伝達物質にはたくさんの種類がありますが、その一つにあなたもよく知っている「ナトリウム」があります。

身体の中をナトリウムが移動することが、神経の伝達に関与していると言われています。

痛みを感じる神経細胞の表面には「ナトリウムチャネル」という神経伝達にとても大切な役割を果たす部位が存在します。

ナトリウムチャネルはその名の通り、チャネルが開閉することでナトリウムの移動を調節するゲートのような役割を果たしています。

リドカインは、このナトリウムチャネルを強制的に遮断してしまうことができる薬剤です。

つまり、リドカインを使用すると脳に痛みの神経伝達が行われないため、ヒトが「痛い」と感じるすべての感覚を完全に麻痺させることが出来るという作用機序を持っています。

このリドカインによっては、麻痺する感覚の順番も決まっています。

①痛覚→②温度感覚→③触覚、の順番で感覚を遮断するとされています。

より繊細な感覚ほど感覚がなくなるまで時間がかかる、というわけですね。

リドカインは局所麻酔薬として「痛み」を抑えることを目的に使用されることが多い薬剤ですが、実は、市販のかゆみ止めや抗炎症薬に配合されていることもよくあります。

そもそも「かゆい」という感覚は、痛みの前段階の感覚(=最少の痛みの感覚)であると言われています。

炎症も強いと痛みを引き起こすことがありますので、こうした感覚を抑えるために、市販のドラッグストアで購入できる塗布薬のかゆみ止めなどにリドカインが配合されていることがあります。

 

 

リドカインの作用時間

時計と聴診器

リドカインの局所麻酔薬には、用途に応じてさまざまなタイプのものがあります。

テープになっている貼り薬タイプ、塗り広げて使うためのクリームタイプ、より扱いやすいゼリータイプ、汎用性の高い液体タイプと多くの種類が存在しています。

塗布して使用する局所麻酔薬としてのリドカインの作用発現までの時間は、約2~3分ほどと即効性があって効果も高く使いやすい薬剤であるとされています。

効果の持続時間は使用するタイプや部位、患者さんによって個人差がありその時間は異なりますが、1回の塗布で30分~約2時間前後、局所麻酔薬として痛みを感じさせなくする効果が持続すると言われています。

 

 

リドカインの副作用と注意点

リドカインの注射液

局所麻酔薬として使用され、歴史が長く安全性も高いと言われるリドカインですが、医薬品ですので全く副作用がないわけではありません。

人によっては食べ物にアレルギーがあるように、まれに麻酔薬にもアレルギー反応を起こす方がいます。

アレルギーの症状は動悸や息切れ、目の充血や皮膚の赤みやかゆみなどがあげられます。

もしこうした症状が現れた場合には、すぐにスタッフに伝えるようにしてください。

また、アドレナリン入りのリドカインは指、趾、陰茎といった体の末端には使ってはいけない「禁忌」というものに該当されています。

これは、血管が過剰に収縮してしまい、組織が壊死してしまう可能性があるからです。

間違って触れてしまった場合にもスタッフに伝えるようにしてください。

また、中には吐き気や頭痛、めまい、手足の震え、眠気などといった中枢性の症状を感じる方もいるので注意が必要です。

塗り薬や貼り薬といった局所で使う場合もあるお薬なのに、全身症状が出る(頭痛がする、眠くなるなど)ことに違和感を感じるかもしれません。

お薬は、皮膚を通して体内に吸収されて血をめぐって全身に行き渡ります。

そのため、こういった副作用があらわれる可能性が少なからず存在するというわけです。

注射剤のリドカインを使用する場合はより注意が必要です。

心臓にも作用するため、脈が遅くなったり、最悪の場合は血液のめぐりが悪いために引き起こされる「ショック状態」というものに陥る危険性もあります。

この場合は、ドパミンなどといった血圧を高めるお薬を投与することになります。

ただ、こうした極めて稀に重大な副作用が起こる危険性があるとは言えますが、その確率は何千から何万人に一人の確率であると考えられます。

なぜなら、こうした医療用の麻酔薬は経験豊富な知識を持った医師による適正使用が義務付けられているからです。

異変を感じた場合には、医師も常に観察していてすぐに対応してくれますので、過度に心配はせず安心して施術にあたって頂くことができます。

ただ、こうしたことは知識としては知っていても損はありませんね。

また、基本的な注意点として、リドカインは金属を腐食させる性質を持っています。

施術を受ける際には、ピアスや指輪、時計、眼鏡といった金属類は全て外しておくようにしましょう。

万が一こうしたアクセサリーについてしまった時には、よく水で洗い流すように注意してください。

 

 

最後に

美容外科医のカウンセリング

今回は、美容外科の無痛治療のためによく使われるリドカインについて解説しました。

共立美容外科では1989年の開院以来痛みに配慮した治療を行っています。

痛くない美容外科を心掛けています。

痛みが怖くて心配な方はぜひ一度ご相談にいらしてくださいね。

 

 

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このページの監修・執筆医師

  • 磯野 智崇(いその ともたか)

    磯野 智崇(いその ともたか)

    共立美容グループ 総括副院長

    • 略歴

      • 1995年
        聖マリアンナ医科大学 卒業
        1995年
        聖マリアンナ医科大学形成外科 入局
        1999年
        東大宮総合病院整形・形成外科 入職
        2002年
        共立美容外科 入職
        2009年
        共立美容外科 浜松院院長就任
        2020年
        共立美容グループ 総括副院長就任
    • 主な加盟団体

      日本美容外科学会
      日本美容外科学会認定専門医

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