国際学会「OSAPS 2026」参加報告 ―東洋人の「美」を世界と考える

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順天堂大学医学部形成外科学講座 水野博司
2026年9月12日、13日の2日間、台湾・台北で開催された「第19回東洋美容外科学会(19th International Congress of the Oriental Society of Aesthetic Plastic Surgery:OSAPS)」に参加してきました。今回は台湾美容外科学会(Taiwan Society of Aesthetic Plastic Surgery:TSAPS)の第32回国際年次総会との合同開催で、会場となった台北南港展覧館には、台湾をはじめ日本、韓国、シンガポール、タイ、フィリピン、インドネシアなどアジア各国に加え、米国、オーストラリア、コロンビアなどからも美容外科医が集まりました。大会テーマは「Oriental Beauty Reset」。東洋人の美しさを改めて見つめ直し、現代の美容外科における新しい価値観や治療法を考えるという、大変興味深いテーマでした。

OSAPSとは
OSAPSは「Oriental Society of Aesthetic Plastic Surgery」の略称で、日本語では「東洋美容外科学会」と呼ばれています。1988年、日本の形成外科・美容外科の発展に大きく貢献された大森清一先生を中心として東京で設立された、アジアで長い歴史を持つ美容外科の国際学術団体です。現在は日本、韓国、台湾、シンガポール、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム、マレーシア、香港、カンボジアの11か国が加盟しています。
OSAPSの大きな特徴は、その名称が示す通り、東洋人の美しさ(Oriental Beauty)を医学的・科学的に追究することにあります。美容外科というと欧米で発展してきた治療法を思い浮かべる方も多いと思いますが、顔面や眼瞼、鼻、骨格などの解剖学的特徴や、美しいと感じるバランスには人種や地域による違いがあります。そのため、欧米人を対象として確立された手術をそのまま東洋人に適用するのではなく、東洋人特有の解剖や美的感覚を理解したうえで治療法を発展させることが重要です。
OSAPSは、こうした考えのもとで研究・教育を進めるとともに、最新の手術手技や医学的知識の共有、国際的な学術交流、さらには患者さんの安全性や医療倫理の向上にも取り組んでいます。国際学術集会は2年に一度、加盟国・地域が持ち回りで開催しています。
私は現在、OSAPSにおいて日本を代表するNational Secretaryを務めており、学術交流だけでなく学会の国際的な運営にも関わっています。今回のプログラムにも、日本のNational Secretaryとして掲載していただきました。

東洋人の美容外科を幅広く議論
今回の学術集会では、2日間にわたり非常に多彩なプログラムが組まれていました。

美容外科の代表的な分野である上眼瞼・下眼瞼形成、フェイスリフト、鼻形成、顔面輪郭形成、豊胸術、脂肪吸引・体幹輪郭形成、脂肪注入などに加え、近年注目されている再生医療、低侵襲治療、エネルギーデバイス、AI(人工知能)などについても多くの発表が行われました。さらに、女性・男性の外陰部形成や医療安全、美容医療教育といったテーマも取り上げられ、美容外科という領域が非常に広い分野へ発展していることを改めて実感しました。実際、プログラムは3会場で同時進行するほど充実した内容でした。

特に興味深かったのは、単に「どのような手術を行うか」だけではなく、東洋人の解剖学的特徴に対して、どのような治療を行えば自然で調和のとれた結果を得られるのかという視点が、多くのセッションに共通していたことです。
例えば眼瞼形成では、上眼瞼手術から下眼瞼の脂肪処理、脂肪注入を併用した若返りまでが議論され、鼻形成ではアジア人に対する隆鼻術や鼻背変形などについて各国の専門家がそれぞれの方法を紹介しました。フェイスリフトについてもdeep plane faceliftをはじめ、東洋人に適したさまざまなアプローチが提示されました。
一方で、従来の美容外科の枠を超えたテーマも増えています。脂肪移植と再生医療を組み合わせた治療、細胞老化と脂肪移植の生着との関係など、基礎研究を臨床へ応用しようとする発表もありました。
さらに今回、私自身も「Facial Rejuvenation ― Non-Surgical Approaches(非手術的顔面若返り治療)」のセッションで台湾のFeng-Chou Tsai先生とともに座長を務めました。このセッションではスキンブースターや低侵襲治療、フェイスリフト前の非手術的治療などについて議論されました。

美容医療では、新しい治療法が次々と登場します。しかし「新しい」というだけで治療を取り入れるのではなく、その効果、安全性、適応、そして長期的な結果を専門家同士で検証することが極めて重要です。世界各国の医師と直接議論できる国際学会は、そのための貴重な機会でもあります。
次の世代へつながるOSAPS
今回の台北滞在では、学術プログラムだけでなく、OSAPSの将来の運営について話し合うNational Secretariesによるビジネスミーティングにも出席しました。各国の代表者が集まり、今後のOSAPSの方向性や国際交流、将来の学術集会について積極的な意見交換が行われました。そして、次回2028年のOSAPSは韓国・ソウルで開催されます。1988年にOSAPSが設立されてから40周年という大きな節目を迎える記念大会となります。さらに、その次の2030年大会は日本で開催されることが決まっています。公式プログラムにも、2028年韓国、2030年日本での開催予定が明記されています。 現在OSAPSの公式サイトでも、次回大会は2028年4月7・8日にソウルで開催されることが案内されています。

日本はOSAPS発祥の地でもあります。その日本で再び国際学術集会を開催できることは大変意義深く、National Secretaryとして私自身も今後その準備に関わっていくことになります。
学術交流とともに得られたもの
今回は実質2日間という短い台北滞在でしたが、学術面だけでなく、人と人との交流という意味でも非常に充実した時間となりました。

国際学会では、最新の知識や技術を学ぶことはもちろん重要ですが、海外の友人たちと直接顔を合わせ、互いの近況を語り合えることも大きな魅力です。今回も長年親しくしている各国の形成外科医、美容外科医との再会を楽しむことができました。また、講演会場やビジネスミーティング、Faculty DinnerやGala Dinnerなどを通じて、新しい先生方との交流も数多く生まれました。


美容外科は、技術だけで完結する医療ではありません。患者さんが求める「美しさ」そのものが時代とともに変化し、国や文化によっても価値観が異なります。だからこそ、自分たちの経験だけにとどまらず、海外の医師たちと知識や考え方を共有し、互いに学び続けることが重要だと思います。


今回のOSAPSで得られた新しい知識や技術、そして世界の美容外科医との交流から得たさまざまな刺激を、これからの日々の診療に生かし、より安全で、より自然で、患者さん一人ひとりに適した美容医療として還元していきたいと思っています。

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