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出版物紹介『最新美容医学でとりたい脂肪がすっきり』 第3章 「脂肪吸引なら共立美容外科」となぜ言われるのか

『最新美容医学でとりたい脂肪がすっきり』
共立美容外科医師グループ 著

第3章 「脂肪吸引なら共立美容外科」となぜ言われるのか

※この本は1990年に書かれたものです。現在の治療内容と若干異なる箇所がございます。

最新美容医学でとりたい脂肪がすっきり

時代の先端を行く細いカニューレ

脂肪吸引はカニューレというものを用いて行うtいう話をしました。
このカニューレには、内径が一ミリの細いものから、八ミリ、十ミリという太いものまでいろいろの種類があります。それを部位によって使い分けるのです。
腹部の場合、従来ですと、八ミり、十ミリといった太いものが使われていました。現在でもこの太いカニューレを用いるドクターはたくさんいます。
ですが、太いカニューレのメリットというのは、一口で言って、ドクターの側が楽だということ以外にはありません。太ければ太いほど、一回に吸引出来る脂肪の量が多いわけですから、その分、手術時聞が短かくてすむわけです。
「手術時聞が短かければ、患者にとってもメりットになるではないか」
とおっしゃる方もおいででしょう。

でも問題は、仕上り具合と傷口なのです。

私たちは現在、内径二ミリから四ミりという細いカニューレしか使用していません。
内径が細いものを用いますと、トンネルの穴が細かい蜂の巣状になって、平均的に脂肪がとれ、仕上がりがきれいになるのです。
瘢痕拘縮という話をしましたが、トンネルの穴が太くなればなるほど、瘢痕拘縮の際、皮膚の表面にデコボコが生じやすいのです。
また、カニューレは、太くなればなるほど、当然のことながら、神経や血管を傷つけやすくなり、知覚神経麻痺や多量出血による貧血などを招く危険も高くなるというわけです。
もう一つは傷口です。
「カニューレを脂肪層の中に挿入し、前後に動かし、管の中に入り込んだ脂肪を脂肪層から削りとって……」
という話をしましたが、実は、その前後運動というのが大変なんです。
一分間に八十回から百二十回もの往復運動をするのです。
ですから、手術が一時間としますと、約五千回から七千回の往復運動がくりひろげられるわけです。カニューレを挿入するためにメスで切った傷口は、この往復運動のためにかなりのダメージを受けます。
カニューレが太くなればなるほE、その傷口もダメージも大きくなっていくわけです。

画期的なKBシースの誕生

「細いカニューレを用いて、ていねいな手術を施すことによって、安全で仕上りのきれいな脱脂がはじめて可能になる」

という私たちの主張はおわかりいただけたと思います。
では、細いカニューレさえ使っていれば何も問題はないのかといえば、実は、一つだけ問題があったのです。

それは傷跡の問題です。

いかにカニューレが細かろうと、ともかく、スチールの管が七千回もの往復運動をくり返すのですから、挿入口の皮膚がその摩擦熱のために受けるダメージはどうしても避けることは出来ません。いかに小さな傷口とはいえ、やはり傷跡が残るのです。
そこで私たちは考えました。
何とかこの傷を目立たないものにする方法はないものかと、頭をひねったのです。
その結果、私たちが開発したのが、皮膚を保護するシース(さや)です。私たちはこれを

『KBシース』

と名付けました。KBとは共立美容外科(Kyoritsu Biotechnology)の頭文字です。
もっと酒落たネーミングもいろいろと考えたのですが、結局、このシースは共立美容外科の"姿勢と精神"のシンボルではないか、ということで、ちょっと野暮ったいのですがそのまま病院の名をとって名付けたのです。
カニューレを挿入する穴に、このKBシースを装着することによって、何千回往復運動をくり返そうとも、メスを入れたときの穴をそのままの状態で保持することが可能になったのです。
このことは実に大きな意味をもっています。まず、傷口を"外縫い"しなくても"内縫い"とテーピングですむようになったことです。ウソのような話でしょう。でも、本当なのです。

ですから傷跡は、本当に目立たないものになりました。傷跡が目立たなくなったことによって、従来不可能だった場所からのアプローチが出来るようになったのです。
このことはプロポーション創りの上で、大きな前進をもたらしました。
まきに画期的な『KBシース』の誕生というわけです。

ドイツの名医も絶賛したKBシース

私たちはワシントンにオフィスを設置しています。そこを中心にして、アメリカのドクターたちといろいろな情報の交換を行っているのですが、このKBシースのニュースを伝えたときは、彼らは口を揃えて「グッド・アイデア!!」を連発しました。
「ぜひ、アメリカの学会でそれを発表してくれないか」
ということになり、近くそのはこびとなっています。

昨年(一九八九年)、ドイツ美容外科学界の大御所ドクター・アンゼリ氏が来日しました。
氏はボー・デレクをはじめとして数多くの女優の美容外科を手がけた名ドクターです。
来日時、氏はいそがしい日程の中で、私たちのクリニックを訪ねてみえました。KBシースを用いた手術の実際をぜひ見学したいとおっしゃったのです。
手術が終わった後、いろいろと話が弾んだのですが、滅多に人をほめないことで有名な氏が、私たちの手術の方法(麻酔も合めて)を絶讃して下さったのです。
そのとき、氏は、

「患者を思う気持というのは誰でも口にするが、なかなかこういうところ(KBシース)までは気がまわらないものだ。これは君たちの不断の心の現れでしょう」

と言って下さった後で、シースの材質についてお尋ねになりました。
実は、私たちは材質に関しては大変に苦労したのです。スチールとの摩擦に耐え、なお絶対に人体に悪影響を与えないものということになると、なかなかむづかしい。
何度もトライアルを重ね、実験をくり返し、やっと今の材質にたどり着いたのです。
私たちのそんな話に、氏は興味深げに耳を傾けておられましたが、最後に、
「ここへ来て本当によかった。私はラッキーだ。ありがとう」
と言って下さったのには感激しました。

ウェット・メソッド派の主張

「ウェット」「ドライ」という言葉は、どの世界でも使われるものですが、私たちの世界でもしばしば用います。
カニューレによる脂肪吸引に関しても「ウェット・メソッド」と「ドライ・メソッド」という二つのメソッド(方法)があります。
私たちはウェット・メソッドによる吸引を行っています。
ちょっと専門的な話になるのですが、私たちが信念をもって採っている方法をすべて知っ
ちょっと専門的な話になるのですが、私たちが信念をもって採っている方法をすべて知っていただくために、この二つのメソッドについてお話ししたいと思います。専門的と言いましたが、決してむづかしい話ではありません。

ウェット・メソッドとは、その名の通り、カニューレの先から"生理的食塩水""血管収縮剤""麻酔薬"といったものを脂肪層内にふりまきながら吸引を行う方法であり、ドライ・メソッドというのは、吸引の際、いっさい何も脂肪層内に入れずに行う方法を言うのです。
私たちがなぜ、ウェット・メソッドを採るかといいますと、生理的食塩水は、脂肪層をふくらませて脂肪をとりやすくする効果があるからです。血管収縮剤は出血を少なくするためです。さらに麻酔薬を用いるのは、大事をとってのことです。(このことは後に麻酔の話をするときに詳しく申し上げます)

これに対してドライ・メソッド派の主張は、
「脂肪層の中に水分を入れたら本当の脂肪の厚きがわからなくなるではないか」
というものです。
これは確かにその通りなのです。
ですが、ドライ・メソッドで行えば、その分、出血が多くなるので、結局、脂肪層内の状態はさほど変わらなくなるのです。

「だったら、脂肪がとりやすく、しかも出血の少ない方法を採るぺきである」

というのが私たちの主張です。
さらにもう一つ。
ドライ・メソッドですと、どうしても出血が多くなるため、貧血などの恐れがあって、ウェット・メソッドほど一度にたくさんの脂肪がとれないということもあります。

そんな理由で私たちは、ウェット・メソッドを採っているのです。

麻酔は必要最小限に使うもの

ここで、麻酔についてぜひお話したいと思います。
人間というのは、ともかく痛みに弱いものです。ですから、手術を受ける患者さんにとっては、麻酔ほど心強い味方はないといえましょう。
でも皆さんは、その強い味方である麻酔のことを、ほとんどご存知ないと言っても過言ではないはずです。
虫歯一本抜くのにも「全身麻酔でやってもらえないかな」などと考えたことはありませんか。きっとあるはずです。
「抜歯に限らず、たとえどんな手術でも全身麻酔でやってもらえれば、苦痛を感じないですむのに」
それは確かにそうです。
ですが、そうお考えになるのは、麻酔のことをご存知ないからなのです。麻酔の効果の面ばかりをご覧になっているからです。
強い味方であるはずのものでも、使い方を誤れば、たちまちキパをむいて人体に襲いかかる恐ろしい獣と化すことをご存知ないからです。
ですから、

「全身麻酔ですので痛みはまったく感じません……」

などという言葉を聞けば「ラッキー」とばかり、何の躊躇もなく飛びつくのです。
ですが、麻酔というものはどんな麻酔でも危険が伴います。ましてや、全身麻酔は、ドクターの側からすれば出来る限り用いたくない、極めて危険度の高い麻酔であることを知っておいてください。

麻酔には大きく分けて、局部麻酔、プロック麻酔、脊髄麻酔、静脈麻酔、全身麻酔、という種類があります。
どんな手術にどんな麻酔を使うかは、ドクターの判断によるのですが、麻酔に関して熟知しているドクターなら、常に必要最小限の麻酔を用いるはずです。

麻酔医には目が七つある

ここで皆さんが最も心強い味方と思っている全身麻酔についてお話ししましょう。
全身麻酔というのは、足の先から頭のてっぺんまで麻酔をかけることです。そうなると人体はどうなるのでしょうか。
全身の神経に麻酔がかかるわけですから、代謝や循環といった重要な役目を司るあらゆる器管の機能が低下し、自発呼吸すら出来ない状態になります。
従って、呼吸、心蔵の動き、体温の維持、排尿、といったパイタル・サインズ(生きていることの証)を、すべて人工的に管理し、コントロールしなければ、たちまち死んでしまうという状態に置かれるわけです。

ドクターはレスピレーター(人工呼吸器)を用い、心電図をチェックし、血圧をコントロールし、尿管を留置して手術に当たるわけです。
麻酔は深過ぎても浅くてもいけないので、そのチェックも必要です。
深過ぎますと、血圧が異常に落ちたり、神経障害が出たりする場合もありますし、逆に浅過ぎて痛みの刺激が伝わりますと、血圧がハネ上り、老人などの場合、血管が切れることもあり得るからです。

また、手術中、レスピレーターが体位を変換したときに抜けて、呼吸が満足に出来ない状態になっているのをドクターが気づかないと、脳が酸欠状態になり、植物人間になることだって起こり得るのです。ですから、常に血液の色をみて、酸素が血中に運ばれているか否かのチェックも怠ることは出来ません。
麻酔科医は七つぐらいの目がないと勤まらないと言われているのですが、まったくその通りなのです。

以上の話でおわかりの通り、全身麻酔というのは、完全に、ドクターに命を預けるものなのです。
預かる側として、無事に命を守るには、全体をマネジメント出来る、冷静で、優秀で、なおかつデリカシーに富んだ麻酔医が必要なのです。
いかがですか。虫歯一本抜くのに全身麻酔を使わないわけがおわかりになったでしょう。

全身麻酔の乱用はこんなに危険

私たち共立美容外科には優秀な麻酔の専門医がいます。設備も万全です。
が、私たちは外来では絶対に全身麻酔は用いません。
「当院では全身麻酔ですので、まったく無痛ですし、術後二、三時間で帰れます」
などと平然と言っているクリニックがありますが、まったく全身麻酔というものを安易に考えているとしか思えません。

今までの話でおわかりのように、全身麻酔というのは、人聞を仮死状態にするのです。
そんな状態にした患者さんを、二、三時間後に放り出して、もし、プラットホームで突然目まいでも起こして転落するような事故でも起きたらどうするのです。
いうまでもないことですが、全身麻酔には、ドクターのアフター・ケアが絶対に必要なのです。
私たちは、麻酔に関して熟知しているという自負があります。外来で全身麻酔を用いるような恐ろしいことは、とても出来ません。

「全身麻酔も、浅く用いれば、外来で使っても大丈夫」

というドクターもいます。
そんなことはありません。いずれにしても、仮死状態にすることに変わりはないのです。
もし、百歩下って、浅く使うtいう方法をのむとしましょう。
すると、どういうことが起きるか。
局部麻酔やプロック麻酔というのは、除痛効果がカーブを描いて徐々に下るのですが、全身麻酔の場合は、ガスをストップして目が覚めれば、その時点で除痛効果はまったくのゼロになるのです。
ですから、早く覚醒すれば、それだけ患者さんには術後の痛みが激しく襲うということになるのです。
結局、全身麻酔というのは、そういう使い方をすペきものではないということです。

中途半端な静脈麻酔

全身麻酔だけではありません。脊髄麻酔も静脈麻酔も、外来で用いてはならない麻酔です。
脊髄麻酔は、脊髄を包んでいる膜に注射針の穴があくことで、そこから脊髄液が漏れます。ですから、動き回りますと、脳の脊髄液の圧力が低くなって、頭痛やめまい、吐き気といった症状を起こすのです。
静脈麻酔というのは、一口で言えば、呼吸だげは自発呼吸で、あとはほとんど全身麻酔に近い状態になる麻酔です。私たちは、この静脈麻酔はほとんど用いませんが、腹部の脂肪吸引などで用いるクりニックも結構あります。
私たちがなぜ、この麻酔を用いないかというと、中途半端な麻酔だからです。静脈麻酔を用いるくらいなら、完全にチェックして全身麻酔を用いた方が、むしろ良いとも言えるのです。
静脈麻酔を打ちますと、呼吸は止まりはしませんが、そうかといって普通の呼吸ではなく、
血圧も保たれているようでも不安定。しかも、全身麻酔のように、胃を空にしておりませんので、嘔吐が起こることもあるといった具合で、まったく予断を許きないのです。
しかも、深過ぎると呼吸が止まりますし、浅いときには喉頭けいれんを誘発し、呼吸困難を招くといった面ももっています。

この麻酔で怖いのは、嚥下性肺炎を起こした場合です。静脈麻酔では、全身麻酔のように人工呼吸器の送管チューブを最初から入れませんから、もし麻酔が深過ぎて呼吸が止まると、急拠、送管チューブを気管に入れることになります。
そのとき胃が空でないと、嘔吐を起こすことがあり、その吐瀉物が肺に入りますと、嚥下性肺炎という治しようのない肺炎を引き起こすのです。
ですから、この麻酔も決して安易に用いてはならないものなのです。
局部麻酔でも充分事足りる手術に、静脈麻酔を用いているクリニックもありますが、感心したことではありません。

ていねいな手術のために

私たちが、腹部の脂肪吸引とか豊胸術のときに用いるのは「硬膜外麻酔」という麻酔です。
「ああ、あの、無痛分娩のときの麻酔ですね」
そうです。無痛分娩のときや、ある種の開腹手術、あるいは末期のガン患者の苦痛をやわらげるときなどに用いる麻酔です。ですが、一般の方は「硬膜外」などという言葉はおそらく聞いたことがないでしょう。

「脊髄」というのはご存知ですね。
脊椎の中にあって、脳と末梢神経の伝導路となっている器官です。
その脊髄は、硬膜という膜で被われていて、その中に髄液が溜っています。
脊髄麻酔というのは、その硬膜を破って針をさすので、前に述べました通り、髄液が漏れるのです。
その硬膜の外に、脊髄から出る神経の枝が通っている「硬膜外腔」という場所があります。
硬膜外麻酔というのは、その腔に針を射し、脊髄から出る神経の枝に麻酔薬をふりまくというものです。
麻酔薬というのは、いつも必要最小限に用いなくてはなりません。例えば極端な話、一時間で終わる手術に、術後五時間も六時間も麻酔が利いている、などという用い方はしてはならないのです。
かといって、ギリギリの用い方でも、思わぬことで手術が長引いたとき、患者さんに苦痛をもたらします。

そこで私たちは、この硬膜外麻酔を用いるとき、硬膜外腔にチューブを留置したままで手術を行っています。そうしてそのつど、状況に応じて麻酔を追加していくという方法をとっているのです。
こうすれば必要以上に麻酔薬が患者さんの体内に入ることはなく、しかも、思う存分ていねいな手術も出来るというわけです。
実際、手術に思わぬ時聞がかかるなどということがしばしばあります。
そんなときでも、この方法ですと患者さんも安心ですし、私たちも安心して手術が続けられるのです。

硬膜外麻酔を用いる理由

腹部の脂肪吸引の場合、従来ですと、全身麻酔か、静脈麻酔という入院を必要とするものか、さもなくば外来の場合は局部麻酔だけでした。
局部麻酔ですと、まず注射を打つのに患者さんが大変な苦痛を味わう上に、利かない場所があったりしますと、ドクターの方も思い切った吸引が出来ず、最初のデザイン通りにいかないといったケースもしばしばみられたのです。
今までの話でおわかりと思いますが、硬膜外麻酔は、人間を仮死状態にするわけでもなく、かといって局部麻酔のような苦痛が伴うものでもない、といった麻酔です。
しかも、脊髄麻酔と違って、硬膜を破りませんから、髄液が漏れることはなく、従って入院の必要もないというわけです。
後術一時間も休んでいただければ、まったく普通の状態に戻り、何の心配もなく帰路につけます。
ですから、この硬膜外麻酔というのは、現段階において、

「外来で用いることの出来る最高の麻酔である」

と公言して間違いはありません。

硬膜外麻酔とウェット・メソッド

「硬膜外麻酔が、全身麻酔や局部麻酔のそれ守れのデメリットを補った、脂肪吸引などには大変理想的な麻酔であることはよくわかりましたが、硬膜外麻酔には、まったくデメリットはないのでしょうか」

これは当然のご質問です。
もちろん、まったくないわけではありません。硬膜外麻酔にもデメリットはあります。

例えば、その一つとして、人によって血庄が下がることがあり得るのです。
腹部の脂肪吸引のとき、硬膜外麻酔でブロックするのは、腰椎と胸椎の間の神経です。(豊胸術の場合は、頚椎と胸椎の間)血圧のコントロールというのは、ご存知の通り、自律神経がまかなっています。自律神経というのは、交感神経と副交感神経とが括抗して働いているのですが、血圧のコントロールは交感神経の役目です。
しかも、腰椎と胸椎の間をブロックすると言いましたが、ここは交感神経の支配領域なのです。
ですから、この場所を広範囲にブロックすればするほど、血圧は下がりやすくなるのです。
私たちは手術中、常に点滴を用意しています。もちろんこれは血圧のためばかりではありませんが、血圧が下がった場合でも、その程度によってすかさず昇圧剤を点滴によって注入し、カバー出来るようになっています。

もう一つは、本当に稀なことですが、硬膜外麻酔が部分的に利き目が薄いことがあるのです。
もちろん、だからといって激痛が走るというレベルではありませんが、若干の痛みを覚えることはあります。
そのために私たちは、前述したように、ウェット・メソッドで、カニューレの先から生理的食塩水や血管収縮剤と一緒に、大事をとって麻酔剤も入れるのです。
こうすることにより、万が一にも起こり得る硬膜外麻酔の弱点をカバーしているわけです。

熟練技術が必要な硬膜外麻酔

「硬膜外麻酔を用いないクリニックがあるのはどうしてなのですか」

そんなにいい麻酔なら、どのクリニックても用いているはずなのに、という疑問ですね。
これは一口に言えば、大変にむづかしい麻酔だからです。
熟練したドクターでないとなかなか打てないのです。
一つ間違って、硬膜を破って脊髄に針をさしたら大変です。要するに、脊髄麻酔と同じことになるのですが、脊髄麻酔と硬膜外麻酔とでは、麻酔の分量が違います。
硬膜外麻酔の分量を脊髄に入れますと、呼吸が止まってしまうような事故が起きるのです。
また、間違って脊髄の神経に射したりしますと、患者さんは一生、麻庫状態の生活を送らなければならなくなります。
本当に狭い硬膜外腔という場所に、正確に針をさし、しかもチューブを留置するという技術は、並大抵のものではないのです。
従って、これはどのドクターにでも出来るという麻酔ではないのです。

麻酔に関するクリニックの現状

麻酔に関して、ながながとお話してまいりましたが、この機会に皆さんにぜひ知っておいてほしいと思ったからです。
麻酔というのは、手術を受ける患者さんにとって大変重要な位置を占めるものであるにもかかわらず、しかも患者さんが一番頼りにするものであるにもかかわらず、皆さんがその種類や内容に関して知る機会のないものです。
「麻酔を使いますので、まったく痛くありません」
ということだけで、どういう種類の麻酔を、どういう具合に使うのか、皆さんにはまったく知らされません。
「当たり前だ。どこの病院だって、そんなことをいちいち患者に言わないじゃないか」
確かにそうです。
しかし、一般の病院では「まったく痛くありません」などと言わないのです。だから患者さんに麻酔のことなど説明する必要はないのです。

ですが、美容外科は違います。
「痛くありません」を売りものにしているではありませんか。

売りものにする以上、どうして痛みが少ないかを明解にする義務があると私たちは考えます。
麻酔の種類やその使い方によっては、はっきり言って、手術中に痛むことだってあるのです。麻酔を打っときに激痛が走ることだってあるのです。あるいはまた、危険な状態におかれることだってあるのです。
どこのクリニックへ行っても同じなら話は別ですが、クリニックによって麻酔の用い方には大きな違いがあるのが現状です。
となれば、少しでも痛みが少ない、少しでも安全な道を選ぶ手立てになる情報を患者さんに与えてさしあげるのが当然ではないでしょうか。
大方の患者さんは、大きな違いがあることも知らずに手術台に乗るのです。それではあまりにも患者さんが不幸です。
クリニックの門を叩いたら、患者さんは遠慮することなく、そこの麻酔の方法をドクターに尋ねるべきです。そんなとき、今までの話が、きっと参考になると思います。自分の麻酔法に自信と信念をもっているドクターなら、何を聞いても親切に説明してくれるはずです。あなたの質問に、ドクターが言葉を濁したり、不快な感じをあらわにしたら、すかさずきびすを返した方が無難でしょう。

目次

共立美容外科

とりたい脂肪がすっきり、第3章 「脂肪吸引なら共立美容外科」となぜ言われるのか、のページをご覧の皆様へ

このページは2024年11月に最終確認をしています。
このページでは、とりたい脂肪がすっきり、第3章 「脂肪吸引なら共立美容外科」となぜ言われるのか、についてご確認頂けます。共立美容外科・歯科の美容整形は、一人一人大切にコミュニケーションをとりながら、医師や看護師が一人一人思いやりを持って、患者さまの立場に立った美容外科手術を行うことを信念としています。脂肪吸引や豊胸、脱毛、歯科など、1989年に開院し、約30年に渡り美容医療を提供させていただいてきた、全国に26院ある、美容整形クリニックです。美容外科とはドクターひとりで行うものではありません。私たちとあなたとが信頼関係を築き二人三脚で行うもの。充分にコミュニケーションをとり、美容整形を通してあなたの夢に近づけていきます。