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Kyoritsu Biyo Scrap(KBS)

歯茎の再生治療について医師が分かりやすく解説

公開日:2022年10月04日(火)
最終更新日:2023年06月14日(水)

美容歯科
歯茎を見せている女性
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日本人の平均寿命は80年以上と長くなる一方、歯の寿命は50年ほどであるといわれています。つまり、現代では、体よりも先に歯の寿命がきてしまうのが一般的なのです。

 
インプラント治療も有名になりましたが、あくまでも人工物であり、自然な歯に比べるとどうしても劣る部分がまだまだ多くあります。とはいっても、噛み合わせや歯磨きなど、歯科医の力だけでは改善できない点も多く、もともとの歯自体を再生するのは非常に難しいのです。

 
歯が死んでしまう原因の第1位である「歯周病」。自然な歯をなるべく長く残すためには、まずは歯周病を治すことが先決です。

 
この記事では、歯周病治療の一つである歯茎の再生治療について紹介します。

 

歯茎が下がる主な原因

歯茎を消毒しているところ

歯茎の下がりは、虫歯や歯周病の他、歯磨きや噛み合わせ・歯ぎしり、加齢などが原因となっていることがほとんどです。歯茎が下がる主な原因について解説します。

原因①歯周病

最も多いのが歯周病です。歯周病は、細菌が原因で発生する口内の病気の一つ。歯周病が進行すると、歯槽骨(歯を支えている顎の骨)が溶けていき、それを覆う歯茎も後退していく仕組みです。

 
歯周病になる原因はさまざまですが、遺伝や喫煙、歯並び、噛み合わせの他、ホルモンバランスの変化などが挙げられます。

原因②歯磨き

力を入れて歯磨きをする癖のある人は、自然と歯茎が傷ついていることがあります。強すぎる歯磨きを続けてしまうと、どんどん歯茎が痩せ、後退する原因になります。

 
汚れが落ちないからといって力を入れて磨く人が多いのですが、正しく磨きさえすれば、そこまで強い力を入れずとも汚れは除去できるのです。

原因③噛み合わせ・歯ぎしり

歯の噛み合わせが良くない場合、歯茎に必要以上の力が加わってしまいます。力が加わる部分の歯茎は、どうしても後退していきやすくなるのです。歯ぎしりや歯の食いしばりによって、一定の場所に過度な力が加わっている場合も同じこととなります。

 
これらが直接的な原因となることはないものの、もともと歯周病である場合は、悪化させる原因にもなりかねないでしょう。

原因④矯正治療後のリスク

矯正治療では器具を使って歯を動かしていきますが、その動きが顎の骨からはみ出るような大きなものであると、歯茎の下がる原因になる可能性があります。

 
最近ではマウスピース型の矯正治療も一般的になり、歯列矯正をする人は増えてきました。それと同時に、歯茎の退縮に悩む人も増えてきているようです。

 

歯茎の下がりを放っておくとどうなる?

「まだ見た目はそんなに気にならないしいいか…」と歯茎の下がりを放っておくと、あとあと後悔しかねません。そのままにしておくと、下記のような影響が出ることがあります。

①歯が長く見えるようになる

歯茎が下がると、自ずと歯が長く見えてしまいます。歯茎の後退に伴って歯根が露出し、そのように見えるのです。

 
見た目にも不自然で、口元の印象が悪くなってしまいかねません。

②歯に物が詰まりやすくなる

歯茎の下がりを放っておくと、食べ物が歯に挟まりやすくなります。これは、歯根の露出で歯と歯の間が広がることによるものです。

 
歯に物が詰まると、不快感を感じるだけでなく、虫歯を誘発するリスクも高くなります。

③知覚過敏になりやすくなる

歯は表面に硬いエナメル質があり、そのすぐ下には象牙質(ぞうげしつ)と呼ばれる歯の主成分にあたるやわらかい組織があります。歯茎が後退し歯根が露出すると、象牙質があらわになってしまうのです。

 
象牙質は虫歯になると進行しやすいリスクがある他、刺激が神経に伝わり、冷たい物がしみるようになることがあります。

最終的には全身に影響を及ぼすことも・・・

歯周病を引き起こしてそのまま放っておくと、歯周病菌が血管や気管から体内に入り込み、全身に影響を及ぼす可能性があります。

 
最近では、動脈硬化を誘発する、糖尿病を伴うと相互に症状を悪化させる、妊婦の場合は早産や低体重児出産のリスクが高まるなどの研究結果も報告されています。

 
一度下がった歯茎は元には戻りません。原因に合った治療を受ける必要があるため、気がついた時は早めにかかりつけの歯科医院に相談してみるのが良いでしょう。

 

歯茎の再生治療方法

歯茎のモデル

歯は歯茎や骨によって支えられており、歯茎や骨が健康でなければ、どんなに歯がきれいでも抜歯することになります。現在の歯科治療には、歯茎や骨を再生する方法が欠かせません。

 
ここでは、代表的な歯茎の再生治療方法を紹介します。

PRP再生療法(PRF、CGF)

歯茎の再生には、PRP再生療法を用います。PRP再生療法とは、患者様ご自身から採取した血液内の多血小板血漿(platelet rich plasma)から成長因子をつくりだし、それを利用してさまざまな部位の再生治療を行うものです。

 
歯茎に治療を行う場合は、この成長因子を歯茎に移植し、細胞を再生させます。患者様ご自身から採取した血液に由来するため、体が拒絶反応を起こすこともありません。人工物を使用しないため、副作用の心配もないのが特徴です。

 
PRP再生療法は、歯茎の再生治療だけに止まらず、顎関節症やほうれい線治療、関節や膝の痛みの治療などにも用いられます。美容外科や歯科、整形外科、皮膚科など幅広い分野で応用されている方法です。

 
また、PRP以外にもPRF(platelet rich fibrin=多血小板フィブリン)、CGF(concentrated growth factors)といった材料を使用する治療方法もあります。これらはいずれも患者様ご自身の血液から採取するものですので、安全性が高くなっています。

薬剤を使用する再生治療

再生治療の中でも唯一保険適用で受けられるのが、「リグロス®」と呼ばれる薬剤を使用して歯の周辺組織を再生する方法です。傷を治したり血管をつくったりする成長因子の一つである「FGF-2(bFGF)」を使った薬剤を使用します。

 
リグロス®は火傷などの治療にも用いられており、2017年に厚生労働省の認可を受けた薬剤です。成分は成長因子で、歯槽骨の欠けた部分に塗布することで、歯の周辺組織の再生を促進します。

ヒアルロン酸注入による再生治療

美容外科などで使用されるヒアルロン酸を歯茎に注入し、下がった歯茎を回復させる方法です。原則として、ヒアルロン酸注入による方法は、歯茎が健康でないと受けられません。そのため、歯周病の症状が出ている人は、歯周病治療を行うことが先決となります。

 
また、ヒアルロン酸注入による再生治療は、効果が一時的です。ヒアルロン酸は時間の経過とともに体内に吸収されるため、効果を持続させるには定期的に治療を行う必要があります。

 
ヒアルロン酸はもともと人間の体内にある成分であるため、治療方法としては安全性が高いといえるでしょう。

 

歯茎の再生治療で得られる効果

歯茎の再生治療は、主に「抜歯を回避できる」「歯周病の進行を食い止める」といった効果があります。それぞれ詳しくみていきましょう。

①抜歯を回避できる

歯周病が重症化してしまうと、歯科医に抜歯を宣告されることがあります。抜歯は最終宣告ともいえる手段ですが、再生治療を行えば、抜歯をする前に歯茎や骨を再生できます。

 
そのためには、まずは重症化する前に治療をすることが大切です。不安に思ったら、早いうちに歯科医院に相談しましょう。

②歯周病を進行を食い止める

再生治療を行うことで、既に進行している歯周病を食い止められます。

 
歯周病は残念ながら自然に治ることはありません。薬用の歯磨き粉に変えようと、歯茎をマッサージしようと、効果は期待できないのが現状です。

 
また、過剰な力での歯磨きが、歯周病の原因となっていることも。自力で治すことは不可能ですが、毎日のケアを正しい方法で行うことで、歯周病の進行を少なからず食い止めることはできるのです。

 
歯周病に気がついた段階で、かかりつけの歯科医院に相談してみてくださいね。

 

再生治療で悩みを解決できる可能性がある人

 

  • 歯茎が痩せている人
  • インプラント後に歯茎に隙間や黒ずみができた人
  • 歯茎が凹んでいるように見える人
  • 歯の間にものがよく詰まってしまう人
  • 歯茎が腫れて痛む人
  • 歯がぐらぐらする人
  • 歯磨きをするときに歯茎が痛む人
  • 知覚過敏が起こる人
  • 治療の副作用が心配な人
  • できるだけ自分の歯を残したい人

 

再生治療を行った後の注意点

下がってしまった歯茎は、再生治療を行うことで回復させたり改善できたりします。しかし、いくら再生治療を受けたとしても、歯周病を再発させてしまえば元も子もないでしょう。

 
そのため、日々の生活の中で歯茎が退縮しないよう意識を持っておくことが大切。フロスを使って歯周ポケットを丁寧に磨いたり、バランスの良い食事を意識して摂ったり、禁煙したりするなど、すぐにできることもたくさんあります。

 
再生治療を行うことも重要ですが、毎日のセルフケアを適切に行い、歯垢や歯石を取り除くのを習慣づけておくことが大切です。

歯茎の再生治療は早いうちに

歯茎が下がる原因と放っておくリスク、歯茎の再生治療方法、治療によって得られる効果を解説しました。

 
歯茎の退縮はさまざまな原因が引き金となって発生します。既に症状が出て気になっている人は、まずはなるべく早いうちにご相談ください。症状のない人は、日頃のセルフケアを見直し、歯茎が下がる行動をとっていないか今一度チェックしてみることをおすすめします。

 
再生治療も、行っただけで根本から解決するわけではありません。治療後も、適切なセルフケアで再発防止に努めることが大切です。

 
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このページの監修・執筆医師

  • 諸岡 梨沙(もろおか りさ)

    諸岡 梨沙(もろおか りさ)

    日本アンチエイジング歯科学会認定医
    メディカルアロマセラピスト認定医

    • 略歴

      • 2005年
        福岡歯科大学 卒業
        2009年
        共立美容外科・歯科 入職
        2009年
        共立美容外科・歯科 大阪本院(歯科部門)院長就任
    • 主な加盟団体

      日本口腔インプラント学会
      日本審美歯科学会
      日本補綴歯科学会
      顎機能咬合学会
      アンチエイジング歯科学会
      アンチエイジング歯科学会認定医
      メディカルアロマセラピスト認定医
      ヨガインストラクター

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