アポクリン腺?エクリン腺?わきがの原因はどっち?
最終更新日: 2024年02月15日 (木)

体から汗を分泌する器官のことを汗腺(かんせん)と言います。
人間には主にエクリン腺とアポクリン腺と呼ばれる汗腺が存在しており、これらの組織の働きによって汗をかきます。
エクリン腺の汗はサラサラとしていて、アポクリン腺の汗はベタベタしているのが特徴です。
大量の汗をかく多汗症にお悩みの方は、エクリン腺から分泌される汗の量が多いのに対し、わきがにお悩みの方はアポクリン腺から分泌される汗の影響を受けてわきが特有の臭いを発生していると考えられています。
このように、それぞれの汗腺には特徴があり、多汗症やわきがの治療を行っていくためには、それぞれの特徴を理解することが重要です。
本記事ではアポクリン腺とエクリン腺の違いを紹介するとともに、多汗症やわきがの治療法を解説します。
わきがと多汗症の違い
わきがも多汗症も「汗」に関連する症状であることは間違いありませんが、その病態は全く異なるものです。
多汗症とは?
多汗症は、何らかの原因によって人一倍汗をかきやすい体質のことです。
汗っかきと言われることもありますが、汗が多いことによって日常生活に何らかの障害が出ている場合には多汗症と診断されます。
一般的に汗の量が多いだけであれば問題はなく、むしろ新陳代謝が良く健康的であるとも言えるでしょう。
しかし、手汗の量が多くて細かい作業が困難であったり、額から出る汗が多いためにどこに行くにもタオルが手放せないなど、汗の分泌によって日常生活に支障が生じているならば治療が必要かもしれません。
多汗症には、原因となる何らかの疾患がある場合(二次性多汗症)や、緊張やストレスなどの精神的な影響により、特定のシチュエーションで汗が止まらなくなる場合など、人によって様々な原因や症状があります。
例えば、人前でスピーチをする際に手のひらや脇の下の汗が止まらなくなってしまい、服の外にまで汗が染みてしまうといった症状が現れることもあるでしょう。
そもそも人間は、緊張を感じると交感神経が活発化し、汗の分泌は増加します。
そのため、緊張するタイミングで心臓がドキドキしたり、手のひらに汗をかいたりすることは問題ではありません。
しかし、汗の量があまりにも多い場合には、汗を止めるような治療を行うことがあります。
汗を分泌する器官は汗腺と呼ばれ、人間の体にはエクリン腺とアポクリン腺という2種類の汗腺が存在します。
多汗症の原因となるのは主にエクリン腺から分泌される汗です。全身に存在するエクリン腺の数が多かったり、エクリン腺が活性化しやすい方は汗の分泌量が多くなります。
わきがとは?
わきがは、汗を分泌する組織である汗腺の中でも、アポクリン汗腺(アポクリン腺)と呼ばれる組織から分泌される汗によって、わきが特有の臭いを発生させる体質のことです。
わきがの原因にも汗が関与していますが、わきがの臭いを発生させる汗は、アポクリン腺から分泌される汗に限られており、エクリン腺から分泌される汗がわきがの臭いを発生させることはありません。
このように多汗症とわきがは、どちらも汗が関連しているものの原因は異なります。 多汗症の原因は主にエクリン腺から分泌される汗であり、わきがの原因はアポクリン腺から分泌される汗です。
そのため、治療法も多汗症とわきがでは異なります。
汗を止める治療は多汗症に効果的ですが、わきがの臭いを抑えるためには、汗を止めるだけでは不十分である可能性があります。
また、多汗症とわきがを併発している場合もあるため、臭いの原因をしっかりと特定した上で対策や治療を行っていくことが重要です。
わきがの原因はアポクリン腺だけ?
わきがの原因は、実はアポクリン腺だけではありません。
アポクリン腺から分泌される汗が、皮膚の常在菌(皮膚に存在している細菌)と反応することで、特殊な成分の物質が作られ、その成分がわきが特有の臭いを発生させていることが分かっています。
アポクリン腺から分泌される汗そのものは、フェロモンのような役割を果たしていると考えられており、「不快な臭い」ではありません。
しかし、アポクリン腺と常在菌という二つの要素が合わさることで、わきがの臭いが出現してしまうのです。
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アポクリン腺とエクリン腺
ここからは、アポクリン腺とエクリン腺についてより詳しく解説します。
エクリン腺は主に体温調節などに使用される汗腺で、全身に分布しています。
一方のアポクリン腺は、脇の下や外陰部、肛門周辺、乳輪、外耳道などの特定の部位に存在している汗腺です。
運動をしたり、辛いものを食べたり、暑い場所に入ったりして汗をかくのは、エクリン腺から分泌される汗である場合が多いです。
エクリン腺とアポクリン腺を完全に分ける事は難しく、実際には両方から汗をかいているということになりますが、暑い時にかく水分を多く含んだ汗は、エクリン腺から分泌されたものと考えられます。
エクリン腺の特徴
エクリン腺は全身の体表面に分布しており、体温の調節のため以外にも精神的な緊張や交感神経の興奮によって汗を分泌します。
エクリン腺から分泌される汗の98%以上が水分で、残りは若干の塩分などが含まれていると言われており、エクリン腺から分泌される汗は基本的にサラサラとした臭いのない汗です。
汗をそのまま放置することで、衣類などに付着しているゴミやほこり、皮脂などと混ざり合い、そこに細菌が繁殖して悪臭を発生させることはあるでしょう。しかし、汗そのものは無臭です。
エクリン腺が多いと多汗症の原因にはなりますが、わきがの原因にはなりません。
たとえ、よく汗をかく体質であったとしても、汗の分泌がエクリン腺から行われているのであれば、わきがの臭いを発生するということはありません。
そのため多汗症とわきがの治療は全く別物です。
アポクリン腺の特徴
全身に分布するエクリン腺とは異なり、アポクリン腺は脇の下や外陰部、肛門周辺、乳輪、外耳道といった特定の部分にしか存在しません。
アポクリン腺から分泌される汗には、タンパク質や脂肪酸、鉄分など様々なものが含まれているため、白くベトベトしているのが特徴です。
アポクリン腺は、エクリン腺よりも皮膚の深い部分に存在しており、汗を分泌する際に皮脂なども一緒に分泌されることが多く、 これらが皮膚の常在菌と反応します。
アポクリン腺の汗に含まれる脂肪酸が皮膚の常在菌と反応することで、低級脂肪酸と呼ばれる物質が生成され、この物質がわきがの臭いの原因となります。
そのため、わきがを治療するには、アポクリン腺を取り除く(アポクリン腺の活性化を抑制する)、アポクリン腺から汗が分泌されないようにする、汗が分泌されても細菌と反応しないようにするなどの方法が有効です。
多汗症治療とわきが治療の違い
ここまで紹介したように、多汗症とわきがでは根本的な病態が異なり、汗を分泌する組織に違いがあります。
多汗症を治療するためには、エクリン腺から分泌される汗を抑制することが重要であり、汗を止めることができれば症状を改善できるでしょう。
一方、わきがの治療では、アポクリン腺に対してアプローチしていく必要があり、汗を止めるだけでは根本的な解決にはなりません。
わきが治療の基本
わきがの治療のためには、汗の分泌量を減らすのはもちろんのこと、皮膚に存在するアポクリン腺そのものを切除する治療を検討する必要があります。
アポクリン腺を切除するためには、脇の下を切開して物理的に汗腺を取り除くという方法の他、特殊な医療機器を使い、外部から汗腺を吸引するという方法があります。
共立美容外科では、お一人おひとりのご要望に応じて対応できるように、様々な治療方法をご用意しています。
手術の傷跡を残したくないという方であれば、メスを使わない治療方法がおすすめです。
ミラドライや、ローラークランプ法と呼ばれる治療を行うことで、手術の跡を残さずアポクリン腺を取り除くことが可能です。
これらの治療は体への負担が少なくメリットの大きい施術である一方、保険適用が認められておらず、メスを使った治療よりも自己負担額が大きくなってしまうというデメリットがあります。
どの治療にもメリットとデメリットがあり、体質やライフスタイルなどによってもおすすめできる治療法は異なります。
共立美容外科には専門のカウンセラーがおりますので、わきがや体臭、多汗症などにお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
施術を希望されないという方であっても、お悩みに関して真剣にご対応させていただきます。
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