アポクリン汗腺からフェロモン?ワキガと性ホルモンの関係は?
最終更新日: 2022年03月19日 (土)
一般的にワキガというのは「不快な臭い」として知られていますが、ワキガの臭いの原因であるアポクリン腺は、異性を惹きつけるフェロモンを分泌する組織とも言われています。
実際にワキガの臭いと性ホルモンには密接な関係があり、性活動が活発化するとワキガの臭いも強くなるということが分かっています。
そこで今回はワキガの臭いと性ホルモン、月経などとの関係を解説しながら、アポクリン腺からフェロモンが出ているのか?という疑問についてもお答えしていきたいと思います。
ワキガの原因アポクリン汗腺とは?
ワキガ特有の臭いの原因となるのは、アポクリン汗腺(アポクリン腺)と呼ばれる組織から分泌される汗だと言われています。
アポクリン腺から分泌される汗が皮膚の常在菌と反応することで、ワキガ臭とも呼ばれる独特な臭いを発生させることになります。
ワキガの治療を行うためにはこのアポクリン腺を除去することが必要になります。
アポクリン腺とエクリン腺
人の汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があります。
人はこの二つの汗腺から汗を分泌することで、体温調節や様々な機能維持を行っています。
そのため、仮にワキガの手術を行ってアポクリン腺を全て除去したとしても、汗の分泌そのものに大きな影響を与えることはありません。
一般的にイメージされる汗や、体温調節を行うための汗を分泌しているのはエクリン腺であり、エクリン腺は全身に分布しています。
体温の上昇や精神的なストレス、緊張など、自律神経やホルモンの影響を受けてエクリン腺から汗が分泌される仕組みになっています。
エクリン腺から分泌される汗の成分の98%は水分であり、残りはごくわずかな塩分などであるため、エクリン汗腺はわきがの原因にはなりません。
汗をそのままにしてしまったり、汗によってムレた衣類などから臭いを発生させてしまう可能性はありますが、この場合の臭いはワキガの臭いとは異なります。
一方、アポクリン腺は、わきの下や外耳道、乳房、外陰部、肛門の周辺などにも分布しており、思春期になると性ホルモンの影響で汗の分泌が多くなることが分かっています。
アポクリン腺の汗の中には、タンパク質や脂肪酸、鉄分、色素、蛍光物質、尿素、アンモニアなど様々な物質が配合されているため、これらの物質が皮膚の常在菌の影響を受けて、わきがのニオイを発生させることになります。
特に、アポクリン腺の汗の中に含まれる脂肪酸が、皮膚の常在菌と反応することで生成される低級脂肪酸が、ワキガ特有の臭いを発生させていると言われています。
日本人とアポクリン汗腺
人間誰しもがエクリン腺とアポクリン腺を有していますが、ワキガ体質の人は、アポクリン腺が大きくて、その数も多く、汗の分泌量も多い傾向があります。
ワキガは遺伝するため、両親や家族内にワキガの人がいるという方は、自分自身もワキガ体質である可能性があります。
しかしアポクリン腺の量が多ければ必ずワキガになるかと言うとそうではなく、アポクリン腺の量や汗の分泌量、皮膚の常在菌の影響など複数の要因が反応して臭いが発生するということになります。
日本人などの黄色人種では、ワキガ体質になる頻度は約10%と少なく、白人や黒人ではほとんどの人にワキガの体質がみられるため、体臭には人種差があるといえます。
また、アポクリン汗腺は腋窩以外に外耳道や陰部にも存在しており、 脇以外のアポクリン腺から分泌された汗がワキガ臭を発生させているという可能性もあるため、ワキの施術を受けるだけでは完全にニオイを消すことができないというケースもあります。
日本人は特に、臭いや体臭に敏感であるため、わきが体質によって、対人関係や社会生活などに負の影響を及ぼしてしまうという方も少なくありません。
アポクリン汗腺の場所はどこにある?
人のアポクリン汗腺は、わきの下や外耳道、乳房、外陰部、肛門の周辺などに存在しています。
人以外の哺乳類ではアポクリン腺が全身に存在している場合が多く、アポクリン腺は仲間同士の確認や異性をひきつけるフェロモンのような役割をしていることが知られています。
人の場合も同様であり、性ホルモン(男性ホルモンや女性ホルモン)にアポクリン汗腺を活発化させる作用がみとめられているため、思春期以降(女性の場合は初潮の頃)にワキガを発症したり、高齢になると臭いが少なくなります。
ホルモンバランスや性活動の影響を受けてアポクリン腺は活発になるため、人間にとってもアポクリン腺はある種のフェロモンであるとも言えます。
アポクリン汗腺からはフェロモンが出ている?
アポクリン腺はワキガの原因となることが知られていますが、フェロモンとしての役割も持っており、必ずしも悪いものとはいえません。
アポクリン腺は性腺と言われることがあるように、もともとは異性を引き寄せる「良いニオイ」や「魅力的なニオイ」を発生させる器官なのです。
アポクリン腺から分泌される汗が人間の常在菌と反応することで不快な臭いを発生させてしまいますが、アポクリン腺の分泌物そのものは嫌なニオイではなく、むしろ性刺激をする作用があるともいわれています。
異性や人に対して魅力を感じた際には、アポクリン腺からのフェロモンが影響している可能性もあります。
このように、アポクリン腺は必ずしも生活にとって悪影響を与えるものではない、ということを理解しておく必要があります。
アポクリン汗腺と性ホルモンの関係性
次にアポクリン腺と性ホルモンの関係性を考えていきましょう。
ワキガは主に思春期を迎えた年齢から発症しやすいことが分かっています。
女性の場合には、初潮を迎えた頃にワキガのニオイが発生するということも分かっています。
性ホルモンによってアポクリン腺の活性化が引き起こされ、異性を惹きつけるフェロモンを放出するようになります。
性活動が活発化すると同時にアポクリン腺も活発化し、ワキガの臭いも強くなる可能性があるということです。
しかし、先にも述べたように、アポクリン腺が全て悪かと言うとそうではなく、アポクリン腺から放出されるフェロモンによって魅力的な成人へと成長していくことができるとも考えることができます。
女性のワキガに関して
アポクリン腺の活性化には性ホルモンが深く関わっているため、特に女性の場合、月経や生理の周期によって、ワキガの臭いが強くなったり弱くなったりすることがあります。
女性ホルモンの影響を受けてアポクリン腺の活性化が起こるため、特定の時期のみワキガの匂いを感じるという人も少なくありません。
また、脇以外のアポクリン腺も臭いに強く影響しており、胸(乳首)や外陰部、陰毛付近などからもワキガの臭いやアポクリン線のニオイを発する可能性があります。
ワキガに悩んでいる方の中には、パートナーとの性行為の際に臭いを指摘されたという方も多く、ワキだけではなく、陰部や胸の臭いを取り除きたいと考えている方も少なくありません。
ワキガを治療するには?
今回はワキガの原因であるアポクリン腺に関して紹介しながら、アポクリン腺と性ホルモンの影響について考察しました。
ワキガを治療するためには原因であるアポクリン腺を取り除くことが重要になるのですが、汗の量が多い多汗症の症状によって臭いが強く出ている人の場合は、汗を抑える治療を行うだけでもワキガの臭いを抑えることができる可能性があります。
今回ご紹介したように、アポクリン腺は必ずしも体にとって害となるわけではありませんので、アポクリン腺を除去せず汗だけを止めるという方法も検討しても良いでしょう。
また、ワキガの臭いを消すためには、わき以外のアポクリン腺に対しての対応も重要になり、胸や陰部などの施術も検討していく必要があるかもしれません。
共立美容外科では、お一人おひとりの細かなニーズに応えることができるように、様々な施術方法を取り扱っております。
また、当院ではある一定以上の技術と経験を持つ医師のみが施術にあたっており、手術に伴うトラブルが最小限になるような努力をしています。
代表的なアポクリン腺を除去する手術(剪除法)では、目で見てアポクリン腺を取り除く必要があるため、医師の技術や経験が治療の成功に大きく影響します。
医師に一定の基準を設けることで、アポクリン腺の取り残しがない施術をご提供することが可能となっています。
また、専門のカウンセラーによるカウンセリングを実施しており、家族や友人、パートナーなどにも言えない悩みを解決するためのサポートをしております。
施術の有無を問わず、脇の臭いや体臭などにお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
ご自身でケアを行うだけでも、ワキの臭いを改善する事が可能な場合もございます。
保険診療で行うことができるワキガの施術もご紹介しておりますので、安心してご相談いただければと思います。
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