コラーゲンの効果的な摂取方法を医師が解説
最終更新日: 2024年09月27日 (金)
私たちの肌を内側から支えるコラーゲンは、シミやたるみを防ぎ、若々しい肌をキープするための非常に重要な役割を担っています。
コラーゲンを摂取することで、体の内側から美しい肌をキープしたいとお考えの方も多いでしょう。しかし、コラーゲンはそのメカニズムを理解して、正しく摂取することで初めて効果を発揮します。
本記事ではコラーゲンが肌を整える仕組みと、コラーゲンの効果を生かす摂取方法についてご紹介します。
コラーゲンの摂取で美肌を目指したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
コラーゲンの正しい摂取方法
コラーゲンを摂取することで、体内のコラーゲン生成を促す働きが期待できます。しかし、間違った摂取方法は肥満やニキビ、頭痛やむくみなど、副作用の要因となってしまいます。
コラーゲンの正しい摂取方法を確認し、美肌を目指しましょう。
コラーゲンの摂取量目安を守る
美容や健康に効果が期待できる、1日あたりのコラーゲン摂取量の目安は5gから10gとされています。
過剰に摂取されたコラーゲンは、体内に吸収されず蓄積していきます。
アミノ酸の状態で蓄積されたコラーゲンは、1gあたり4kclになりますので、過剰摂取が続くとそれだけ肥満のもとになります。
また過剰に摂取されたコラーゲンの分解は、腎臓や肝臓に大きな負担をかける要因にもなります。
1日あたり10g以上のコラーゲン摂取は控えましょう。
食品のみでコラーゲンの摂取量目安を目指さない
コラーゲンが豊富に含まれる食品は、ふかひれやすっぽん、豚足や手羽先、ゼラチンなどが挙げられます。
コラーゲンが豊富に含まれる食品に共通している点は、脂質が多いことです。
コラーゲン量を意識するあまり脂質の多い食品を継続して摂取していると肥満のもとにもなりますし、他の栄養素の不足にもつながります。
脂質の多い食品を摂取する際は、食物繊維が豊富な食品から食べるようにしましょう。
それにより、脂質が過剰に吸収されることを防ぎ、体に必要な栄養素を補うことも可能です。
また、バランスの良い食事をとった上で、摂取量目安に足りないコラーゲンをサプリメントやドリンクなどの補助食品で補うのも良いでしょう。
サプリメントやコラーゲンドリンクは、夜に服用する
コラーゲンが生成されるのは、22時から2時頃と言われています。
就寝の1時間から1時間半前を目安にサプリメントやドリンクなどでコラーゲンを摂取しておくと、より効果が期待できるでしょう。
ただし、食品からコラーゲンを摂取する場合は、脂質が多く含まれていることもありますので、昼食で摂取するのがおすすめです。
夕食に脂質の多い食事をとってしまうと、脂質を消化しきれずに太りやすくなってしまいますのでご注意ください。
また、コラーゲンドリンクを摂取する際も、糖分が多い場合には注意が必要です。
コラーゲンドリンクの中には、飲みやすい味にするために人工甘味料や砂糖が多く添加されているものもあります。
糖分が多い食品を夜に多く摂取すると、消化機能に負担をかけ、太りやすい体質になってしまう可能性があります。
コラーゲンドリンクを選択する際は、添加物もよく確認するようにしましょう。
ビタミンCと鉄分の摂取も忘れずに
体内でコラーゲンを生成する際には、ビタミンCと鉄分が必要です。
コラーゲンの摂取ばかりを心がけていても、ビタミンC と鉄分が不足していては、新たなコラーゲンを生成することができません。
特に鉄分は、多くの女性に不足しがちな栄養素です。
サプリメントなども活用して、意識的にビタミンCと鉄分を摂取しましょう。
継続して摂取する
コラーゲンを摂取した際の効果は、翌日にすぐ表れるわけではありません。
コラーゲンを摂取することによって、体内にコラーゲンを生成する材料が整い、生成されたコラーゲンによって肌のキメやハリが整います。
効果を実感できるまでには時間がかかるため、2ヶ月から3ヶ月ほど毎日コラーゲンを摂取し続けることが重要です。
「コラーゲンは大切」と言われる理由とは?
そもそもコラーゲンとは何なのでしょうか?
コラーゲンは人間が体内に有している、繊維状のタンパク質です。
肌の真皮層に多く存在し、私たちの肌にシワやたるみができないように肌の表皮を支える働きをしています。
また、コラーゲンは体を支える上でも非常に重要な役割を担っています。
骨の体積の50%はコラーゲンでできており、カルシウムやミネラルが作り出した骨の硬さを、コラーゲンのしなやかさが支えています。
軟骨や関節でクッションの様な働きをしていたり、筋肉と骨をつなぐ役割をしているのもコラーゲンです。
コラーゲンが減少してしまうと、シワやたるみなどの年齢サインが気になるようになってきたり、膝の曲げ伸ばしや歩行にも影響が出てしまうため、美容や健康を維持するためにも非常に大切な成分なのです。
コラーゲンは減少するの?
体内のコラーゲン量は20歳ごろがピークと言われており、それ以降は徐々に減少していきます。
加齢に伴うコラーゲン量の減少は著しく、60代の方の体内にあるコラーゲン量は、20歳の時と比較するとおよそ半分とも言われています。
体内のコラーゲン量が減少する要因は、「細胞の老化」と「光老化」です。
全ての細胞はそれぞれある一定の回数までしか分裂、増殖することができないのですが、コラーゲンを生成するための線維芽細胞もその例外ではありません。
時とともに分裂回数の上限に達し、その力を失った線維芽細胞は、新たなコラーゲンを生成することができず、体内のコラーゲン量を増やすことができなくなってしまいます。
これが、細胞の老化に伴うコラーゲン減少のメカニズムです。
また、線維芽細胞の働きを阻害する要因として、紫外線のダメージが挙げられます。
紫外線の中でもUV-Aと言われる紫外線A波は、肌の真皮層まで届くことが分かっています。
近年の研究によると、人間の体内ではこのUV-Aによる肌内部のダメージを分解しようと、活性酵素を生成します。
この活性酵素はUV-Aのダメージだけでなく、線維芽細胞内のタンパク質までもを分解してしまいますので、線維芽細胞の機能が鈍る「光老化」という現象が起こってしまうのです。
体内のコラーゲン量を維持する方法
加齢と紫外線の影響によって徐々に減少するコラーゲンですが、体内のコラーゲン量を維持するためには、どのような方法があるのでしょうか。
紫外線ケアを怠らない
線維芽細胞の働きを阻害する分解酵素を分泌させないためには、UV-Aから肌を守ることが重要です。
UV-Aは窓ガラスやカーテンなどの物体をも通過してしまいますので、屋内であっても必ず紫外線ケアを心がけましょう。
UV-Aに効果のある数値は、日焼け止めの場合「PA」で表記されています。
PAは4段階のレベルでその効果が示されていますので、外出する際などはPA++++の日焼け止めを使用するのがおすすめです。
エストロゲンの分泌を整える
卵巣から分泌される卵胞ホルモンのエストロゲンは、月経や妊娠・出産にも関わる重要なホルモンですが、コラーゲンの生成を促す作用もあるホルモンです。
エストロゲンの分泌量は20歳から45歳ごろまでは比較的安定していますが、更年期を迎えると急激に分泌量が減ってしまい、心身の不調を引き起こすばかりか、コラーゲン減少の一因になってしまいます。
エストロゲンの分泌を安定させるためには、良質な睡眠をとること、冷えから体を守ること、そして大豆由来の食品を摂取することが大切です。
大豆由来の食品には、エストロゲンと似た分子構造を持つ大豆イソフラボンが含まれていますので、エストロゲンの力をサポートする働きが期待できます。
更年期を迎える前から、普段の食事にお豆腐やお味噌、納豆などを積極的に取り入れましょう。
コラーゲンを食べる
かつて「コラーゲンは食べても効果がない」と言われていましたが、コラーゲンの摂取は体内でのコラーゲン生成に重要な役割を担っています。
私たちがコラーゲンが豊富に含まれている食品やサプリメントなどを口から摂取すると、コラーゲンは「アミノ酸」と「コラーゲンペプチド」に分解されます。
アミノ酸は、ビタミンCと鉄分の力を借りて新たなコラーゲンを生成する材料となりますし、コラーゲンペプチドは線維芽細胞を活性化させる力を持っています。そのため、体内でコラーゲンを生成するためにはコラーゲンの摂取が欠かせません。
シワやたるみに直接効果を実感できるのは、美容医療だけ
インナーケアとしてコラーゲンを取り入れることによって、全体的な肌のハリなどの効果を実感することはできますが、一度たるんでしまった肌やシワができた部分に対しては、効果がありません。
また化粧品に配合されているコラーゲンは分子構造が大きいので、角質層まで浸透することはできません。
年齢サインが気になる場所へ直接コラーゲンを補給する方法は、コラーゲン注入か、線維芽細胞を移植する肌再生医療しかないとされています。
より効果を実感したい方は、インナーケアと併用して美容医療の力を取り入れてみると良いでしょう。
コラーゲンの効果を最大限発揮するには、正しい摂取方法を意識することが重要
美容と健康を維持するために、欠かすことのできないコラーゲン。
体内でコラーゲンを生成する力をサポートするためには、コラーゲンの正しい摂取方法を理解しておくことが重要です。
また、コラーゲンの摂取だけにこだわるのではなく、栄養バランスの取れた食事や、良質な睡眠、紫外線ケアなどライフスタイル全体を見直すことが、美と健康につながります。
必要に応じて美容専門医のアドバイスを取り入れながら、美しく健康な体作りを目指しましょう。