インプラント周囲炎について歯科医師が解説
最終更新日: 2023年10月20日 (金)
「インプラントは虫歯にならない」というキャッチコピーが用いられることがあります。
確かにインプラントは人工の歯であるため、自分の歯のように虫歯になって穴が開くということはありません。
しかし、インプラントを埋め込んだ歯茎や骨などの土台部分は自分自身の細胞であることから、そこに細菌が入ると感染症を引き起こしてしまいます。
インプラントを導入した際には、自分の歯以上に丁寧なブラッシングやクリーニングが必要です。
本記事では、インプラントのリスクの一つとして挙げられる「インプラント周囲炎」とは何かや、長期的にインプラントを維持するために重要なことを解説します。
インプラントのメリット
そもそもインプラントとは、体の中に人工物を埋め込む手術や治療方法のことを言います。
歯科インプラント(歯に埋め込むインプラント)が有名になったために、インプラントといえば歯科インプラントのことを指すことが多いですが、専門的にインプラントと言うと、歯科領域以外の人工物のことも意味します。
例えば、整形外科領域で行われる人工関節を埋め込む手術、美容外科領域におけるプロテーゼやシリコンの挿入、心臓血管領域でのペースメーカーの導入など、人工物や人工デバイスを埋め込む治療全般がインプラント治療です。
歯科領域に限らず、インプラント治療を行うことで、自分の体の中で機能が低下してしまった部分を補完することができます。
歯科インプラントの場合、歯を支える歯根部分を頑丈な人工物に変えるため、入れ歯や差し歯などでは実現できなかったような自然な咀嚼力(ものを噛む力)を得られる可能性があります。
このようにインプラント治療では、体内に人工物を埋め込むという手術を行うことで、入れ歯やギブスといった外部からのアプローチで治療を行う場合と比べても、より高い効果を期待することができます。
ただし、その分大きな手術が必要になるなどのデメリットもあります。
歯科インプラントのメリット
歯科インプラントの大きなメリットは、自分の歯に近い感覚で物を噛めるということです。
しっかりと自分の歯で噛んで咀嚼するのは、ただ栄養をとるということだけではなく、身体全体の健康を保つために非常に重要です。
自分の歯で物を噛んで栄養が取れる人は、点滴などで栄養を補給している人に比べて体力や免疫力が高くなることが分かっています。
さらに、噛むという動作は体の筋肉を動かし、表情を豊かにすることができるため、顔のシワなどの予防にもつながるでしょう。
高齢の方の場合は、物を噛んで食べることで認知症を予防する効果も確認されています。
美しく整った歯が手に入れられるのがインプラントの大きなメリットとして注目されがちですが、実はそれだけではなく、身体全体の健康を維持するためにも、インプラント治療は効果的です。
特に、虫歯や老化といった理由で、歯が欠けてしまっている方は、インプラントに変えることで、まるで自分の歯で物を噛んでいるように食事ができるようになります。
見た目が改善されるだけではなく、機能的にも優れており、更に全身の健康につながるというのがインプラントの大きなメリットです。
インプラントの安全性は?
インプラントには非常に大きなメリットがありますが、デメリットももちろんあります。
インプラントは危険と考えられることもありますが、インプラント(人工物)そのものは非常に安全な素材が使用されています。
先にも述べたように、整形外科領域などで人工関節として使用されるような素材が使われるため、インプラントそのものは比較的安全に使用可能です。
アレルギーのリスクも非常に低いと考えられていますが、治療前にアレルギー検査を受ける場合もあります。
とはいえ、インプラントを埋め込むためには、体への負担がかかる手術を行う必要があります。
インプラントの手術では、歯の根っこ部分である歯根を取り除くために「抜歯」を行い、そこに人工の土台を作っていきます。
虫歯の治療などの歯を削ったり、歯に詰め物をするような歯科処置に比べ、体にかかる負担が非常に大きいです。
インプラントの場合には、手術をするにも一定以上の技術や経験が必要になり、歯科医師であれば誰でもインプラント治療ができるというわけではありません。
このように、「手術そのものの負担が大きい」というのが、インプラントのデメリットです。
共立美容外科では、インプラント治療を行う歯科医師に一定以上の基準を設けており、実績を積んだ歯科医師のみが治療にあたります。
手術時の麻酔や術後の管理なども徹底して行い、手術に伴う負担や不安を減らせるようサポートします。
インプラント周囲炎とは?
インプラントの安全性やリスクを語る上で「インプラント周囲炎」の説明は欠かせません。
インプラントは人工の歯を挿入するという治療であるため、インプラントが虫歯になることはありません。
虫歯になりやすい方でも、インプラントに変えることで、虫歯の発症を防ぐことができるでしょう。
これもインプラントの大きなメリットです。
ただし、虫歯にならないというだけであって、歯茎やインプラントの周囲に感染が起こらない(細菌が入らない)ということではありません。
インプラントの埋め込まれている根幹部分に炎症や感染が生じ、インプラントの周囲が腫れてしまったり、インプラントがぐらついてしまう原因となることがあります。
これは一般的に歯周病と呼ばれるような状態ですが、インプラントを導入している場合には、「インプラント周囲炎」と言います。
インプラントを埋め込んでいる周囲の組織が炎症や感染症を起こした状態がインプラント周囲炎であり、インプラントによって虫歯のリスクを回避することができても、インプラント周囲炎のリスクは残ってしまうということです。
インプラント周囲炎の症状
インプラント周囲炎の症状としては、歯周病と同様、初期の状態ではほとんど自覚症状がないというのが特徴です。
口の中がネバネバしたり、口臭が強くなったり、歯磨きの時に出血が多くなったり、「なんとなくおかしいな」と感じることがあったとしても、インプラント周囲炎が発生していると気付けないことが多いでしょう。
だからこそ、発見時には症状が進行してしまっている場合が多く、インプラントが台無しになってしまっているということもあります。
自覚症状が出ないからこそ、より一層の注意が必要です。
毎日のケアやクリーニング、メンテナンスを怠り、インプラント周囲炎が進行してしまうと、人工歯と歯茎の間にできる「歯周ポケット」が大きくなり、人工物と歯茎の隙間に汚れや細菌などが蓄積しやすくなります。
食べ物の残りかすなどに細菌が繁殖し、感染症を引き起こすことで、さらに症状が進行します。
この状態を放置するとインプラントを支えている歯茎や骨の部分がグラグラになってしまい、インプラントが抜け落ちてしまうリスクもあるため、ケアを怠らないようにしましょう。
インプラント周囲炎にならないために!ケアの方法
インプラント周囲炎にならないためには、ブラッシングなどの毎日のケアが最も重要です。
インプラントは虫歯にならないから歯磨きをしなくてよいということではなく、インプラントだからこそ丁寧にブラッシングすることが大切です。
歯磨きだけではなく、デンタルフロスやマウスウォッシュなどを利用して、口の中を清潔に保つ必要があります。
毎日のケアと同様に重要なのが、歯科医院での定期的なメンテナンスとクリーニングです。
クリーニングというのは、歯科医院で専門的な歯の掃除をしてもらうというもので、クリーニングによって、歯磨きでは取りきれない歯石や細かな汚れなどを取り除くことができます。
頑固な歯石などが歯周病や周囲炎の原因となるため、定期的にクリーニングをして汚れを落とすことで、口の中の健康を保つことにつながります。
インプラントの場合には、クリーニングと同様にメンテナンスも非常に重要です。
インプラントの状態や人工物の状態、噛み合わせや他の歯への影響などを定期的にチェックして、必要であれば調整を行うというのがメンテナンスです。
インプラントをした場合、メンテナンスは必須であり、きっちりメンテナンスをして、初めてインプラントの効果が発揮されると言っても過言ではありません。
メンテナンスを怠るとインプラントの寿命が短くなることも知られており、美しく整った状態を長く続けるためにも、必ずメンテナンスを受けましょう。
インプラントは人工の歯であるため、虫歯になる事はありませんが、歯周病やインプラント周囲炎のリスクは存在します。
インプラントだからこそ毎日のケアを丁寧に行い、定期的にメンテナンスとクリーニングを受けることを忘れてはいけません。
共立美容外科では、初期費用の中にメンテナンス費用も組み込まれています。
インプラントをした後にメンテナンス料金がかかるということはありません。
*保証期間はございます。
カウンセリングの際には、メンテナンスなどのアフターフォローに関してもしっかりと説明しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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