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出版物紹介『シワ伸ばしクリニック』 共立美容外科医師 浪川浩明著

『シワ伸ばしクリニック』

共立美容外科医師 浪川浩明 著

第3章 切る手術(フェイスリフト)

※この本は2007年に書かれたものです。現在の治療内容と若干異なる場合がございます。

シワ伸ばしクリニック

フェイスリフトとは?

フェイスはご存知の通りお顔の事、リフトはフォークリフトなどにも使われる引き上げの意味で、合わせて「お顔の(たるんだ組織の)引き上げ手術」という意味になります。たとえば加齢とともに上まぶたの皮膚のたるみが著明になった患者様がいたとします。この方のたるんだ皮膚は二重のラインを乗り越えて覆い被り、さらに黒目の位置まで下がって視野までもさえぎっております(視野狭窄)。

この際の治療は余分な皮膚を躊躇なく切除して視野狭窄の改善を図ることです。この症例の場合、視野の確保という機能改善が手術の目的ですが、副効果として外見も非常に若々しくなります(審美効果)。この症例のような著しいたるみでなくとも、今日審美目的(外見のエイジングケア)のための上まぶたのたるみ取り手術はポピュラーに行なわれております。

フェイスリフトの着想も同様です。お顔のたるんだ皮膚を切り落としてしまうという単純な発想です。ただし上まぶたの場合は傷の縫い目を二重のラインに重ねてしまう事で将来ほとんど目立たなくなりますが、それとは比べものにならないくらい対象範囲の広いお顔の場合、縫い傷を隠す天然造詣(線状や稜状)構造がそんなに都合よくたるみ部分に存在しないため、現実はもう少し複雑な工夫が必要になります。余分な皮膚の切除位置をベクトル(方向と量)に忠実に傷の目立たない頭髪の中などの顔面後方部に持っていきます。(図3,4)

フェイスリフトのイメージ図

顔や首の皮膚はやみくもに引っ張ればいいというものではなく、
引っ張るのに適したベクトル(方向と量)がある程度決まっています。

すると見かけ上余った皮膚が発生します。それが取りも直さずたるみとなるのです。たるみは体表面のいたるところでカーテンのドレープのようなゆがみを生じ、そこにはたるみジワと称される大きく深いしわとなります。

これは表情ジワなどとはタイプの異なるもので、基本的にはヒアルロン酸やコラーゲンの注入では解消しません。重力がかかる逆の方向、すなわち頭側につまみ挙げると簡単に改善できることを何となくご存知の方も多いと思います。そうです。何も難しい話でなくたるみは引き上げる事で簡単に解消できるのです。

効果の目安

現在は、そして技術が進歩するであろう未来においても、外見を最大限に若返らせる方法は切除法であるということに議論の余地はありません。

低侵襲(患者様にとってローリスクローリターンの)で効果的な組織の引き上げ方が次々に考案され、実際にワプトスリフト・アプトスリフトやミラクルリフトのように実用化された方法も存在しますが、理論的にある領域に立ち入らない限り(引き上げ対象となる組織の事前処理の事)越えられない効果の壁があり、それは切開することによってのみ可能となるからです。

「最大限に若返えられるなら多少のリスクは仕方ない」とおっしゃる方のため、現在最新のフェイスリフト効果の目安をお話しようと思います。ただし効果は複数の要件が複雑に干渉して決まるため具体的な数字で示すのは非常に困難です。説明で使用する数字にはある程度幅を考慮に入れてご想像ください。

俗に「優れたフェイスリフトは効果10年」とよく言われます。これの意味するところは2つ、手術によって見かけ10歳エイジングケア、効果は10年持続するという事です。10歳のエイジングケアとは実に曖昧な表現で、それこそヒトによっては暦年齢より20歳くらい若く見える場合もあればその逆もあります。

効果を決定する複数の要件の中に、現在のお歳とその方の骨格構造があります。同10年でも70歳代の方が60歳代に見える10年と、40歳代の方が30歳代に見える10年とでは意味が異なります。

普通、元のたるみの状態が著しいほど覿面な効果が期待できますし、骨格構造においては例えば、図5のような「頬骨の張りが緩く、鼻が高い尖り顔」のような場合は、後方からの牽引力が何ものにもさえぎられずに前方まで効率良く伝わるため効果が出やすく、図6のような「頬骨の張りが強く、鼻が低い平たい顔」のような場合は後方からの牽引力が大きく外を迂回して減衰するため効率が悪く、効果が出にくい特徴があります。

図5は白人に多くみられる顔の形、図6はアジア人に多い顔の形

図5は白人に多くみられる顔の形、図6はアジア人に多い顔の形

日本人を含む東洋系の民族は残念ながら後者の比率が高いようで、前者は白人によく見られる特徴です。一般に白人のフェイスリフトは効果的と言われるゆえんです。それ以外にも効果を規定する要件は幾つもありますが、私の思うところ手術の結果はやはりおしなべて10年くらい前のご自分の雰囲気を思い出されるのが目安にしやすいと思います。ただ効果の持続の10年説の方は説得力を持ちます。

「えっ、それしかもたないの」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、この意味は手術後も加齢による退行変化が容赦なく続く事で手術後10年先には手術をお受けになる前の現在の状態と変わりなくなる、すなわち振り出しに戻るという事です。ただ手術をお受けにならなければ10年後は暦通りに老化は進行していますので、そう思えば10年先の保険の意義をフェイスリフトにお求めいただけるかもしれません。

ですから効果の出方に個人差があるといっても保険という意味で10年後のご自分のお顔に現在を重ねて目安とお考えになられるのもいいでしょう。

また、切除する皮膚の処理量を目安にする方法もあります。頭を起した状態で耳たぶの付け根の部分からフェイスライン(アゴのライン)に沿って前方2~3cm分の皮膚を除去し、その取り除かれた皮膚のギャップを縫い寄せます。試しにご自分で耳たぶ前方2~3cmの位置の皮膚を耳たぶの付け根に指で引き寄せて、鏡でご覧になるのも参考になると思います。それでもイメージが付け難ければ、どなたでも簡単にできるシミュレーション法があります。

普段、ご自分の寝姿を鏡でご覧になる事はないと思いますが、枕もとに手鏡をご用意いただき、あおむけになって天井を見ているそのお顔を鏡でご覧になると、普段起きている時に見慣れたお顔と違った若々しいお顔を見る事ができると思います(図8)。

たるみは重力が最大の原因ですから、重力の影響が小さくなるこの姿勢は数年前の皮膚のコンディションに近似します。フェイスリフトの結果はこの状態をさらに強調させた雰囲気です。ちなみにそのまま起き上がられた状態(図7)が現在形で、ここから下方必度をお向きになられた重力負荷が加わったお顔(図9)が、今後5~6年後の雰囲気と言われております。

鏡で簡単シミュレーション、自分の数年前・数年後のフェイスライン

効果の限界

例えば70歳代の患者様にフェイスリフトのみならず前額リフトから下まぶたのたるみ取りまで考えられる、ありとあらゆる治療を施したとしても20歳代に見せる事はできません。ちなみに個人によって40歳代はもしかすると可能かもしれません。皮膚の老化がコラーゲン繊維の減少に関係しますが、身近なモデルでは「ゴムひも」があります。

中のゴムがしっかりしている新品のゴムひもが若年者の皮膚にたとえられるとしたら、ご高齢の方の皮膚はさしづめ長く使用して中のゴムが切れて伸びきってしまったお父さん(失礼)のパンツのゴムひもです。人間の皮膚はゴムひものように交換する事はできません。

ゴムに相当するコラーゲン繊維を増加させる方法は幾つかありますが完全に若い頃の状態に戻す事はおろか、1割戻すのも大変な苦労です。手っ取り早く伸びたゴムひも全体を剛体(ただのひも)に見立てて引っ張ることで見かけ上の張力を復元させるのは、帯を絞める行為ととれます。まさしくこれが皮膚によるところのフェイスリフトです。よってフェイスリフトは張力復元手術であって弾力復元手術ではありません。

フェイスリフトにおいて皮膚の引き上げ量の増加と張力の増加は比例関係にあり、それはエイジングケア効果の強調の意味もありますが、ここでは皮膚の弾力は完全に無視されているため、過剰な引き上げの場合はエイジングケア効果の強調よりもパーツの変形が目立つ事になります。

たとえばフェイスリフト後「エイジングケアに満足しているが、欲を言えば鼻唇溝(鼻横から下に伸びる顔の中でも最も特徴的なしわ)をもう1cm余計に引っ張っていただきたかった」などと患者様から注文される事がありますが、しわに関して言えば確かにそうかもしれないけれど、そこを過剰に引っ張ると鼻が横に拡がり、目も吊り上がってしまうなど全体のバランスを崩しかねないのです。

バランス第一に手術をプランニングした場合の効果の限界がこの辺りかと思います。なおフェイスリフトをはじめとする切開手術はたるみ取りには有効ですが、美肌効果やたるみ以外に原因があるしわ(表情ジワなど)にまで有効とはいえませんので、そちらの治療を合わせて行なっていただくことをお勧めします。

フェイスリフトは究極の自己投資

みなさんは「投資」という言葉から何を連想されますか?辞書で引くと、利益を得るために企業などに資金を投じることとあります。金銭換算で考えるとわかりやすいのですが、よく高価な買い物をした人が「自分のために投資しちゃった」などと言うのを聞く事があります。

男性の方ならロレツクスなどの高級時計や車、女性の方ならシャネルのスーツやエルメスのバックなどといったところでしょうか。しかし株や証券などの金融商品と違い、洋服やバックはただの消耗品として(よほどマニア垂涎のレアものでもない限り)将来金銭的な利益をもたらすとは思えません。ただ自己投資にはお金に変えられない意味もあり、悪意に解釈すれば分不相応な無駄使いである高価な買い物も、善意に解釈すれば「精神的な癒し」、すなわちそれによってご本人が生産活動に意欲的になれるなら長い目で見れば確かに投資といえなくもないということになります。

哲学的に考えると、終局的な個人の幸せとはいかに「生きがい」を見出せるかということですので、高価な買い物をすることも、趣味やレジャー、果てはグルメにお金を使うことも、もちろん学問や仕事にいそしむこともこれ全て立派な自己投資です。

ですから美容手術一般も自己投資と位置付けて良いかと考えます。また美容手術の場合、生きがいという精神世界に留まらず、上手く活用されれば恋や結婚といった実利に繋がる場合もありますし、現に芸能人の方々は美容手術によってご自分の商品価値を高めたりされています。さてこの美容手術の中で時代背景もあってか最近注目を集めているのがエイジングケア治療であり、さらにその一つの極みがフェイスリフトということになります。いかがですか。ご自分に投資してみては。

やたるみに対しての究極のエイジングケア、共立式フェイスリフト術

フェイスリフトはある意味、究極の自己投資です。これには手術費用など金銭面の意味もありますが、効果の大きさ(将来の利益)を担保にこれよりも効果の小さい方法に対して腫れや内出血、傷跡を介したダウンタイム(手術後に社会生活などから一時逃避しなければならない期間)の長さなどご本人のご苦労も意味します。

ですから投資に見合う本当に価値のある手術とはいかなるものであるかをこれから説明します。よくあるたとえとして、みなさんも子供のころに切手なりカードなり珍しいものを何かしらお集めになったご経験をお持ちだと思います。コレクターが羨望する珍品カードを当たったと思って自慢げに他人に見せたら「デザインは同じだが皆が欲しがっているのはここが緑のカードだよ」などと言われ、ぬか喜びをしたご経験はありませんか。

間違ったクリニック選びはまさにこれと類似します。もっと違う例えを挙げるなら「耐震偽装マンション」というのがありましたね。見かけは立派なマンションが格安値段で購入できたと喜んだら、実は手抜き工事だったという泣くに泣けない事件でした。これからお話しするフェイスリフトも、引き上げの力学的3要素を巧みに取り入れ幾つものプロセスをきちんと行なっているものだけが価値を持ちます。くれぐれも安物買いをなさらないように。

フェイスリフトでまず大事なのは切開の位置でしょう。髪の毛の中や顔面の後ろ側に傷を付ければ大抵は目立ちませんが、我々は更に目立たないように三次元切開を行ないます。一般に切開は二次元、すなわち縦と横の平面的に行なわれます。

これに対して高さ(厚み)を加えて立体的に展開する事で最大限傷を目立たせない配慮をします。耳たぶの形を利用して立体的に切り込みます。仮にこの位置を数mm前方にずらして直線的に切開すれば、特に縫合の際に医者の手間は格段に少なくなります。私は医者たるもの自分の誇りにかけても手聞を惜しむべきではないと考えます。

切開位置に関連した話ですが、「自分のクリニックの傷は日本一小さい」と、傷の小ささを営業トークにする美容外科がありますが、傷の長さは効果と比例する事を知っておくべきです。殆んどの患者様は「どうせ傷持ちになるにせよ、人情としてなるべく小さくお願いします」とおっしゃいます。ところが実際沢山のたるみ(余分な皮膚)を処理しようとすれば、相応の長さの傷が必要になります。

皮膚の処理は切除量(幅)及びその範囲(長さ)からなる中央の効果出現ゾーン(エフェクテイブエリア:長方形の部分)の他にその両端にそれぞれ幅を点にまとめる収束ゾーン(トリミングエリア:三角形の部分)が必要な事がわかります。収束ゾーンはそれ自身、皮膚を引き上げのための張力発生にはそれほど関与できないにも関わらず、デザイン上絶対に必要です。また切除量が大きくなるほど自身も長くならざるを得ません。

より広い範囲で効果を望めば、当然それに伴って傷も長くなります。このように効果の大きさは傷の長さに比例しますので患者様はこの道理を理解される事が必要です。すなわち傷跡が短いと誇ってもあまり意味を持たないのです。多少傷は長くなっても、最大限の効果を出すためにあえて道理には逆らわず、代わりに傷跡を目立たせないように腐心するのが医療人としての正しい姿勢と思います。

続いて大事なのは、たるみを引き上げるための力学的3要素の第一番、引き上げる組織の事前の下処理です。たるみが最も顕著に表れる組織は何といっても皮膚です。しかし加齢によって下垂し結果たるみに見える組織は何も皮膚だけではありません。脂肪や筋肉などの軟部組織も重力に逆らえず下垂します。皮膚だけを引っ張った場合、効果は長持ちしません。皮膚は伸び縮みしやすいからです。

もしご出産の経験をお持ちな方がいらっしゃれば、実感があると思いますが妊娠に伴い短期間に倍近くに膨張する胴回りに対して、皮膚は伸長できるのです。またご出産後には収縮もします。これを見ても皮膚単独で引っ張っても効果が10年近く持続できるとは到底思えないでしょう。

また本来下垂した軟部組織にはそれぞれを処理すべきところなのに皮膚の牽引力だけに頼れば、不自然な引きつれの発生などのように、無理がたたって容貌の仕上がりにも悪影響を及ぼしかねません。

これまでの説明でお分かりいただけたと思いますが、フェイスリフトは皮膚に加えて軟部組織も修理しなければ本物とはいえないのです。

一般に重みの強い(量の過剰な)脂肪に対してはその分を脂肪吸引で処理(※フェイスリフトに脂肪吸引を併合すると効果的ですが、全例に施すわけではありません。ある程度のご年齢になられると頬の脂肪は適度にあるほうが若々しく見えます。頬の脂肪が不足すると皮膚に張りがなくなり頬骨の下方にシャドーがかかって貧相になります。一方、過度にあると重力に影響されやすく皮膚のたるみを助長させ、リフトの効果も半減させます。

脂肪吸引の併行の適否に関しては医師にお任せいただくのがよいでしょうし、筋肉に対してはスマスリフトを行ないます。

スマスとは一般の方にご理解いただくのは非常に難しいのですがSuperficial Musculo Aponeurotic System の頭文字をとってSMAS(スマス)と言い、日本語の優れた訳語がないため我々もそのままスマスと呼んでおります。表情筋の浅在性筋膜の一部であるとお考えください。これを引っ張るとほとんどの表情筋は膜性に繋がっているため、同時に牽引されるというものです。スマスリフトは今から30年以上前に提唱され、その後の研鑽にて今日フェイスリフトには欠く事のできないプロセスの一つとなっております。

ところがこのスマスはリテーニングリガメント(リガメントは靭帯の意味)という強固な支持組織によって拘束されているため、そのままでは簡単には動かせません。

リテーニングリガメントとは骨から皮膚までの間を動かないように止めている繊維です。骨と皮膚のある部分対中に存在します。

リテーニングリガメントとは骨から皮膚までの間を動かないように止めている繊維です。
骨と皮膚のある部分対中に存在します。

よってリテーニングリガメントをスマス自体は破らないように丁寧に処理し、拘束から開放して可動性を得た後に改めてスマスをしっかり牽引します。このリテーニングリガメントの処理は大変に手がかかり、手術時間の半分はこの作業に費やされると言っても過言ではありません。ここで俗に言われるミニリフトの意味を再度検討したいと思います。

世の美容外科の間では、フェイスリフトの亜形であるところのミニリフトに対して、スマス処理を割愛した皮膚のみの引き上げに対してそう呼ばせているところが多いのかと思います。これだと手術時間は大幅に短縮され、使用する麻酔薬の量や腫れは圧倒的に少なく、手術費も安価に抑えられますが、反対に効果は長持ちしません。

それでも患者様がその事を納得された上で、利那的に手術をお望みになるのなら、例えば「2週間後に20年ぶりの同窓会があります。今でこそこんなにタルんじゃってるけれど、これでも昔はクラスでマドンナ的な存在だったのよ。先生何とかならないかしら」というような治療のご依頼があったとします。正式なスマスリフトでは2週間後ではぎりぎりか、間に合わないけれどミニリフトなら何とかなる。というような使い方はできるかもしれません。

ただここには問題点が3つあります。

第1に上記のようなミニリフトを看板メニューにしているクリニックは効果期間の短さという当法の欠点を患者様にきちんと説明しているのかという点。

第2に現在ではミラクルリフトやワプトスリフトなどの効果は小さいけれどミニリフトと比較しても圧倒的に手術侵襲の少ない非切開手術があり、それらとのトライアウトを考慮してなおミニリフトを選択するかという点。

そして第3にフェイスリフトと偽って実際行なっているのはミニリフトであったとしても患者様にはそれが分からない点です。

我々は皮膚だけの処理に留めるという意味のミニリフトといわれる手術を上記の例えのような特別な場合を除いは支持しておりません。もし控えめ手術が患者様のご希望であれば手技のプロセスの割愛ではなく、あくまで力学的3要素の第二番、ベクトルにおいて方向と量の中の、量を調整する事により対応させていただきます。三番目に大事なのは、力学的3要素の最後、固定源の確保です。これに関してはもはや説明不要と思いますが、実はおろそかにすると大変厄介な事態になりかねません。引き上げた皮膚や軟部組織は頑丈な耳たぶの軟骨に締結しますが、この固定が不十分だと、折角引き上げた組織は重力に逆らえず再び下がろうとします。

ただしこの際、上部の軟らかい組織も下方に引っ張られ変形が生じます。最も深刻なのはフェイスリフトの場合では耳たぶが下に伸びて消失する事です。共立美容外科ではこの下がった組織を再度引き上げ、今度こそ落ちないようにしっかりと軟骨に締結し、またこれによって耳たぶの変形も解消しました。最後にもうひとつ大事なのは仕上げに対する「詰め」です。

例えば頬のたるんだ皮膚が後方に引かれる際に、余分な皮膚を切除するともみ上げが後退して、耳たぶから直接毛が生えた外観ができます。これは見方によっては異様です。そこでもみ上げの幅は狭くなりますが耳たぶに接する部分から前方1~2cmの部分に永久脱毛を施します。

この作業自体は非常に簡単ですが、このように小さな点も決して怠るわけにはいきません。この他にも将来に不備(詰めの甘さ)が残らないように幾つもの留意点がこの手術には存在します。

いかがですか?単純にフェイスリフトと言ってもその内容まで患者様は容易に知る事ができません。ご自分がお受けになった手術が実は手抜き手術だったと後から分かっても通常は分かりません。効果が短くても体質による個人差と取り合ってもらえないのがおちです。面白くはありませんよね。むしろ最初からミニリフトと言ってくれている方が良心的かもしれません。

間違いの無い美容外科クリニック選びのヒントを案内させていただきました。ご参考になさってください。勿論、共立美容外科をお選びいただければご期待に背くことはありません。

おでこや上まぶたのシワやたるみには、業界初!3D-CCDカメラによる最先端内視鏡リフト

フェイスリフトが頬や口元、頭部のたるみに対する究極の引き上げ法と前述しましたが、お顔の上半分、すなわちおでこや上まぶたに対してはベクトル違いになりますので当然効果が及びません。ですから、当然この部分を対象とした引き上げ法が独立して存在し(広義にはこれもフェイスリフトには違いないのですが)、「前額リフト」とか「ブロー(眉)リフト」と称して狭義のフェイスリフトとは区別します。

従来こちらもフェイスリフト同様、頭皮あるいは額上部の皮膚を切り捨てて縫縮に伴う張力によって牽引しておりました。(図13)

「前額リフト」「ブロー(眉)リフト」イメージ図

ただし現在では内視鏡を用いる事で、傷の大きさを何分の一にも小さくして行なえるようになっています(図14)。一般的に効果の大きさと傷の長さが比例しますが、だとすると「内視鏡で傷は小さくできるが、その分エイジングケア効果も拙劣になる」という事になるのでしょうが、ここでは例外的にその法則は当てはまりません。

「前額リフト」「ブロー(眉)リフト」イメージ図

内視鏡を用いた前額リフトの場合、図14のように操作を行なう部分が4~5箇所になりますが、それぞれの部位は僅か1cm足らずの傷で済みます(傷の大きさは内視鏡の鏡胴が挿入できる最低サイズを意味します)。

それにも関わらず、効果は従来式の切開手術に引けを取りません。これには少し説明が必要ですが、頑強に骨に付着し位置的な拘束を受けているおでこから頭皮の前側方にかけての広い範囲の皮膚を、いったん骨から剥がして拘束から開放した後に骨に2~3個の純チタン製の極小スクリュー(僅か3~4mm)を刺入して、これを力学的な支点としてたるんだ組織を括り付けるというものです(図15、図16)。

内視鏡を用いた前額リフト

するとこの位置から後方には余った皮膚が大きくタワミを生じます。従来の切開法ではこのタワミに相当する皮膚または頭皮を切り落とす事で縫縮張力を得ていた(チタンスクリューのような外部支持は不要だった)のですが、頭皮にはこのタワミをそのままにしておいても1ヶ月足らずの短期間に平均化して、タワミによる頭皮の膨丘がほとんど平坦になるという特性があります。

同じ事を毛のない普通の皮膚に対して行なった場合は、タワミによる皮膚の膨丘はいつまでも取れずに残ってしまうでしょう。ですからこの手術と同じタワミの処理は頭皮以外では行なえません。頭皮は多量の毛根を包括するため普通の皮膚と比べると構造的にルーズであり皮膚のゆがみは何倍も平均化され易いからだとお考えください。この頭皮の特性を利用してワプトスリフトなどの非切開手術も成立できます。

チタンスクリューは、チタンが生体不反応性の金属である事に加え(アレルギーを起こす事はない)、もの自体が極めて小さいので、将来そのまま埋設していても問題はありませんし、ある程度の時間が経てば一旦剥がしておいた皮膚が、移動した高い位置で直下の骨と再癒合するため、力学上の支点(チタンスクリュー)を必要としなくなったその時点(通常術後3ヶ月)以降に抜いてしまっても元には戻りません。スクリュー抜去は局所麻酔で腫れを心配する事なく簡単にできます。

さて、この手術はフェイスリフトよりも効果の出方にクセがあります。これは上まぶたにまで牽引力が加わる事や、生え際を後退させる事に由来しますが、フェイスリフトが「自己投資」と表現したあるリスクさえ受け入れられるなら、その効果はほぼ万人に評価されるのに対し、前額リフトでは評価が分かれますので事前にシミュレーションして患者様の容貌における好みを我々が把握して手術の適否を検討しなければなりません。この手術において優れた点(効果を含む)は、

①従来の切開手術に比べて内視鏡を使用する事で遥かに傷は小さく、効果も遜色なく出せること。
②おでこの横ジワや眉間の縦ジワが椅麗に消失すること。
③さらには上まぶたのたるみも引き上げられ、見かけ上の二重の幅が拡がって黒目の聞きも良くなり下がった目尻も引き上げられ、目の周りの雰囲気が若々しくなること。
④フェイスリフトと比較してもそれよりも更に効果が長続きすること。
が挙げられます。

①に関しては既にご理解いただけましたね。ではそれ以外について説明します。

②はこの手術における最も重要な効果です。ただしコラーゲン・ヒアルロン酸の注入や、ボトックス注射など非手術法もある程度効果的です。それでも重症の場合や上まぶたに優しげな雰囲気を醸成するためには当法以外には為し得ない事もあります。

③の上まぶたのたるみに関しては、同部で二重のライン上にたるみの処理を施す方法が一般的ですが、この方法だと元々一重の方が二重になる事を望まない場合や今後二重のラインの位置変更を考える可能性のある方には不向きです。

また将来的には傷跡もほとんど目立たなくなりますが、場所柄手術当初は目立ちやすい事と、人為的な痕跡が完全に払拭されるには数ヶ月の時間を要するなど、切開式の上まぶたのたるみ取り手術は患者様にとって気楽に受け難いのも事実です。

その点、前額リフトは二重に直に干渉せずにたるみを処理できる事や、傷跡が露出部から離れるため、仮に腫れが出現しても当日からでもメイクが可能な事、さらにまぶた自身の聞き方や目尻の加齢に伴う下垂など、外部から干渉しなければ解消できない問題に対しても有効な事など有利な点が多々あります。仕上がりの雰囲気としては眉を指で押さえておでこからの挙上がかからない状態を基準にここから眉を6~10mm上方に持ち上げた際の目の感じをイメージされると良いでしょう。

そして④ですが、フェイスリフトの場合はタルんだ組織を引き上げる力学論拠は「線」すなわちスマスや皮膚の縫縮力ですが、前額リフトではこれが「面」すなわち、剥離して引き上げた組織の骨への再癒合ですのでより強力です。

ですから正確な効果の持続期間は申し上げ難いのですが、場合により20~30年は期待できます。皮膚のたるみを気にする必要のない若年者で、たるみ以外の皮膚質の問題で埋没(非切開)式二重まぶた術では理想の二重がつくれない場合に、切開式二重まぶた術以外にも前額リフトが有効な場合があります。

そんな若年者ではおでこのしわも出現以前ですが、効果が非常に長いために将来の出現予防としてこの時期に早期の自己投資をしても良いかもしれません。おでこのしわの解消よりも眉の引き上げを介した目つきの改善を施術の主目的とする意味で、同じ手術に「ブロー(眉)リフト」という呼称があるのはこのためです。

内視鏡の導入により傷跡が極小化したため、以前よりブローリフトは確実に増加しております。これらの前額リフトの優れた点に対してクセというのは、まずどの症例でも例外なくおでこが拡がることです。

元々おでこが広く前髪を上げていらっしゃる方は、他の点がいくらよくてもこの一件で台無しになる可能性があります。ただ、おでこが猫の額のように狭くて広くする事に憧れているような場合には手術効果の優れた点に組み入れてよいかと思います。見かけ上、生え際は約1cm後退します。

ちなみに現在の内視鏡隆盛時代に従来式の切開手術(冠状切除術)が必要とされる場合は、この部分の全てのリフト効果が必要で、かつおでこを狭くしたい場合の額上部の皮膚切除(縫合線を生え際に重ねて目立たなくする)症例や、おでこの形状の形成術(眉弓の骨性隆起の削除やその逆の前頭拡大術など)を併行する症例です。

もう一つはこの手術は最終完成時のお顔全体の雰囲気において、患者様の価値観に照らして好嫌がはっきりすることです。すごく若く見えて嬉しいと喜ばれればよいのですが、常に驚いたような間の抜けた表情で好きではないと負の評価になる可能性は否定できません。ただしこの点は事前のシミュレーションでスクリーニングできますので、ご興味のある方はカウンセリングを大切にしてください。

共立美容外科では医師のカウンセリングは無料です。なお、共立美容外科は内視鏡手術の今後の需要動向や発展を見越して、業界では初となる3D-CCDカメラを導入しました。私は光学理論は専門外ですので拙い説明で申し訳ありませんが、内視鏡はその使用状況的性格から極めて近点に焦点がある事と深い焦点深度が必要な事、及び強力な光源が必要な事が求められ、それらの点で立体モジュールの3D-CCDカメラは現在求め得る最高画質の理想的鏡像を描写できます。

写真撮影にご興味ある方は何となくご理解いただけるかと思いますが、それ以外の方も、このカメラの導入により共立美容外科の内視鏡手術の精度は他院にくらべ格段に向上したということがお分かりいただけると思います。

目のまわりのたるみは、熟練した技術が必要な治療

上まぶたに関しては、たるみを直に取り除く切開式の上まぶたのたるみ取り手術に加え、前額リフト(ブローリフト)という強力な方法が、それも特別な事情がなければ内視鏡下に極めて小さな傷にて行ない得る事をご理解いただけたと思います。

問題は下まぶたです。前額リフトによる牽引力はまぶた裂(目によって上下のまぶたの皮膚の連続性が途絶える隙間のこと)によって下まぶたには伝わりません。またフェイスリフトは横方向からの牽引力なのでこの部分の理想的なベクトル方向(上外側)には完全なる一致をみません。前額リフトにしろフェイスリフトにしろ、後方部より牽引する方法の力学構造上のウィークポイントは顔面中央部、すなわちこの下まぶたと上唇です。よって下まぶたには独自の改善策が必要になります。

この部分の改善策として私が有効と思う方法は皮膚の切除、要するに上まぶた同様の直々のたるみ取り、および下まぶたの脂肪の除去、場合によって脂肪注入です。この3つに限定する事に関しては同業の先生から異論もあるかもしれませんが、少なくともこの部分のコラーゲン・ヒアルロン酸の注入は不向きであると私は考えております。

ここは身体の中で最も皮膚の薄い部分であり、室内照明などの薄暗い状況ならともかく、日中の屋外やスポットライトが当たるような明るい状況下では白浮き(何となく白っぽく注入されたままに線状に光って見える事)してしまう印象があります。

もし注入を考えるなら材料としてはご自分の脂肪が一番適していると思います。ただこの脂肪注入も原則、皮膚のたるみが強い場合は逆効果であり、ご高齢になる前の痩せた容貌以外は適応とするのは難しいと考えております。

まず皮膚の切除についてですが、切開の位置について2つコツが必要です。上まぶたの二重のラインのような天然造詣を持たない下まぶたにおいて、傷跡が最も隠せるのはまぶた縁の際です。際と言っても真の際は裏側の結膜と表側の皮膚の境界部ですがここを切開するとまつげが全部犠牲になってしまうため、皮膚側にそこから1mm程度ずらした位置を切開します。ここは将来、全く傷跡が分からなくなります。

もう一つはこの位置でまぶたの内側から外側まで殆んどまぶたの全長と同じ長さを切開し、外眼角(まぶた裂の外側の縁)に達して、更に烏の足跡と言われる天然造詣線に沿って外側に5~10mm皮切を伸ばす事です。この後者が本当は重要で。その訳は先述した傷の長さが効果に比例する法則に則ると、まぶたの全長では不十分である点と、仮に切開を外眼角で止めてしまうと皮膚の縫縮張力が真上にかかってしまい、下まぶたのたるみが引き上げられる力と同じ力でまぶた縁が下方に牽引されて、「あかんべー」の変形を生じてしまうからです。

これはフェイスリフトで固定が悪いと耳たぶの変形が生じるのと同じ理由によるものですが、「あかんべー」のほうがより深刻でしょう。そうさせないためにはたるんだ皮膚を真上に縫合するのではなく、外側にハンモックのように吊り上げるのです。この外眼角の外の部分には眼窩という眼球を収納する骨の窪みの淵の部分があり、ここの骨膜が非常に丈夫な固定源となるため筋肉も皮膚も締結させます。この際、脂肪が引き上げに邪魔と判断されれば同時に適量を除去します。

フェイスリフトと違い手術当初は腫れや傷跡を隠蔽しづらい顔面中央露出部の下まぶたですので、その点で施術に臆される患者様も多いのですが、同じ条件でも上まぶたのように動き(開閉運動や瞬き)が無いため、ぎこちなさのような人為的痕跡が出難い分、下まぶたの切開たるみ取り手術のダウンタイムは術後2~3週間程度と上まぶたの数分の1で済みます。

見方によっては下まぶたのたるみは「クマ」と称して上まぶたや頬のたるみ、おでこの深いしわ以上に容貌にとって大敵です。他もかなりたるんでいるのに、その中で下まぶたの切開たるみ取り手術を受けただけで見違えるように若返えられる場合もあります。

それでも切開手術に踏み切れない場合、脂肪の結膜側からの除去はいかがでしょうか。

眼球は先述した眼窩という骨の窪みの中で衝撃緩衝用に脂肪をまとって、さらに丁度内外の赤道面でローズウッド靭帯という支持組織に宙に吊られる形で存在します。この靭帝は鶏卵のカラザ(卵を割ったとき黄身に付着している白い帯のようなもの。これは殻の中で黄身が動いて崩れないように中央に固定する構造体)のようなものです。

この靭帯も加齢とともに緩くなりその結果、眼球は若い頃より重力で下に沈降する傾向があります。すると眼球の周りにまとっていた脂肪は眼球の上方では引き込まれて上まぶたは凹み、下まぶたでは脂肪が外に押し出されて膨らむ傾向が見られます。この下まぶたのはみ出し脂肪を取り除くだけでも、少しはクマが改善します。

脂肪の除去を結膜側から行なうと皮膚を切開せずに済み、ダウンタイムもほとんど生じません。除去される脂肪の量もせいぜい大豆粒1つか2つ程度なので皮膚のしわが余計に増える心配もありません。ただしあくまでも膨隆の改善に留まり皮膚の伸張には寄与しませんので、それ以上の効果をお望みであれば、やはり勇気をもって切開たるみ取りをご検討されるべきでしょう。

現代は雑誌以外でもインターネットなどを使って様々な情報を簡単に、しかもリアルタイムで入手できます。ただしインターネットの世界は玉石混合で「口コミサイト」では匿名性を悪用して他院を根拠なく誹詩中傷し、逆に自画自賛するなど既に正常な機能が果たせていない状態が見られます。

各クリニックが独自監修する「ホームベージ」にしても内容の信憑性に疑問が残る内容が少なくありません。これでは患者様には情報の質を正しく判断しろといっても到底不可能です。これは我々にも責任がある事ですが広告宣伝が商業主義に偏向しているのが最大の原因と言えます。

ある美容クリニックが「当院の手術は痛みが少ない、腫れづらい、戻らない」と3無い法則に加えて、「他院より安い、早い、キレイ」と広告すれば、普通何も知らない患者様はそちらになびきます。その広告に悪意があるとまでは言いませんが、内容に誇張があります。他の良心的(本来正直)なクリニックも、経営していくために誇大(甘言)広告で応戦せざるを得ないといった悪循環が蔓延しています。これは医療業界に限った現象ではなく自由競争の弊害といえるものです。

我々は「痛みが少ない、腫れづらい、変わらない」だろうとよく揶揄します。最近某TV番組で内容の捏造があり問題になりましたが、あれも構造的には同じ根っこです。患者様が情報を得るツールをお持ちになるのはいい事ですが、情報自体に問題がある場合は是正しなければなりません。

本来こうした準公共的情報を監視する第3者機関が必要ですが、公による民の検閲は、出版や言論の自由に抵触するため、今後も設置は難しい(ネット上の情報は野放図にならざるを得ない)でしょう。この文章の趣旨はまさにこの「真実の開示」にあるのですが、中でも最もたちの悪いのは万能広告です。

すなわち「当院独自のOO法は、これまで不可能だった△△を可能にしました」というアレです。治療は魔法ではありません。必ず効果発現の根拠があります。その上、臨床実績を積んで不確定要素を排除して洗練されたものだけが淘汰され、正しく万人から評価される方法として残っていくのです。ひとつの治療法が体質の異なる全ての患者様の個別の要請にどうして対処し切れましょうか。

また我が国では全く新しい独自の治療法は、それが後から不備が発見されて責任問題に発展した場合の追及を憂いて、(医者が)誰もパイオニアになりたがらない治療風土というものがあります。独自と言っておいても、大抵は海外に典拠が存在します。

患者様自身が賢い消費者として広告の真贋を見極める能力をお持ちになっていただきたいと言いたいところですが、医療の世界は素人ではなかなか手に負えないのも事実です。物の道理はハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンです。これさえ押さえておけば、悪徳クリニックに踊されることは少ないと思います。

たとえば温泉に行っておいしい物を食べてリラックスできてマッサージまで受けた。そうしたらお肌がツルツルになり顔色も良くなって何だか若返った気がする。よく聞く話です。

多分ささやかなエイジングケアとはそんなに難しくはないのかもしれません。ただこれが本質的なエイジングケアとは誰も思わないでしょう。湯治でリラックスしても、浮世に戻り2~3日もすれば何もかも元通りです。この例えは医療ではありませんでしたが、究極のローリスク・ローリターンモデルと言えるのではないでしょうか。

湯治感覚で、もはや10年ものエイジングケアが可能とは思いません。ヒアルロン酸やコラーゲンなどの注入療法はそれと比べれば具体的な効果を実感しますし、ある程度の持続性もあります。しかし世の中注射が好きな人はそうはいないもので、大概の人は緊張し快楽とリラックスの内に施術できるものではありません(医療とは施術にあたっては多少とも苦痛を伴ないます)。

この治療はエイジングケア医療の中にあって比較的ローリスク(腫れや痛みが少なく、傷の心配も無用)のグループに属しますが、たるみにはほとんど無力です。その意味ではローリターンです。ハイリスク・ハイリターンの最右翼はフェイスリフトや前額リフトという事になるかと思いますがこれらも決して万能ではなく、しわやたるみの成因をきちんと分析して的確な治療が選択されるのがまずは後悔のないエイジングケア治療の第一歩といえるでしょう。

さて、随分と長い話になってしまいましたがここで間違えの無いクリニック選ぴのポイントを押さえたいと思います。

①きちんと診察をして、しわのタイプに応じた有効な治療法をアドバイスすること。
②治療に伴うリスクを全て隠さず話すこと。
③カウンセリングにも治療にも、オーダーメード感覚で患者様おひとりのために時間を作ること。
④完成のシミュレーションを(過去の症例写真等を使って)具体的にイメージさせること。
⑤料金が明瞭で、アフターケアが万全なこと。
以上が条件だと思います。

①に関して補足説明します。手術にはそれに必要な何段階かのプロセスがあって、プロセスを勝手に省略するとそれなりの結果にしかならないと説明してまいりました(耐震偽装マンションではありませんが)。また患者様自身がこの点を認識するのは難しいとも。よく手術の早さを売り言葉にするクリニックがあり、それは院長(術者)がベテランで神業のように手際が良いからだといった説明がされます。どんな業種にも当てはまる事ですが、キャリア(訓練と経験)を積むほど作業者は手際良く仕事をこなすようになります。そして作業者個人の仕事に対するセンスも重要です。

ただしキャリアや個人の資質とは無関係に、どんな作業にも丁寧さや仕上がりのチェック、手直しなど最低限に必要なプロセスや時間というものがあるのもお分かりになりますね。これは医療にもそっくり当てはまります。

私は自分の経験から、上手な先生ほど例外なく「仕事に謙虚(丁寧)で傍から見て仕事(手術)に派手さがない=奇をてらわない」ものであると言い切れます。はっきり言って、手術の早さは常識からかけ離れて早い場合はプロセスの省略(小手先手術)と見なして間違いないと思います。

参考に切開を主体とした各たるみ取り手術の平均所要時間は、フェイスリフト(頬・あご)は4時間、フェイスリフト(頬のみ) は 3時間、フェイスリフト(あごのみ) は2.5時間、前額リフト(内視鏡) は1.5~2時間、上まぶたのたるみ取りは1.5~2時間、下まぶたのたるみ取りは1.5~2時間、 経結膜下まぶたの脂肪除去は 1時間、頬またはあごの脂肪吸引は1時間、ワプトスリフト(1本につき) は10分、アプトスリフト(1本につき) は5分、ミラクルリフト(1本につき) は10分です。

また⑤にも関連させて、極端な低料金を売り物にするクリニックも要注意です。ぼったくり料金は論外として、物の価格にはある程度の相場があります。皆様は安売りが企業努力の賜物と真剣にお信じになりますか?幾ら無駄を省いてもこれ以上は削れない最低コストラインというものがあります。これ以下に抑えるには禁断の医療の質の削減を断行せざるを得ないのです(これこそプロセス省略の小手先手術です)。

嘘だとお思いになるのであれば、低料金を売り文句にしているクリニックに手術の見込み所要時間を確認されてみる事です。ひとりにそんなに時間をかけてはいられないものですから、例外なく短いはずです。医療もそれを商品としてとらえるのであれば資本主義経済の全ての商品物流と何ら変わりはありません。ただし性格上、「薄利多売」は絶対そぐわないのです。

プロセスが省略されていれば組織にかかる負荷も当然少なくなりますから、手術後の早期の腫れも少ないということになります。患者様は早くて安くて腫れづらいことが、実はケチの付き始めになると注意してかかるべきでしょう。

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共立美容外科

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このページは2024年3月に最終確認をしています。
このページでは、切る手術、についてご確認頂けます。共立美容外科の美容整形は、一人一人大切にコミュニケーションをとりながら、医師や看護師が一人一人思いやりを持って、患者さまの立場に立った美容外科手術を行うことを信念としています。脂肪吸引や豊胸、脱毛、歯科など、1989年に開院し、約30年に渡り美容医療を提供させていただいてきた、全国に25院ある、美容整形クリニックです。美容外科とはドクターひとりで行うものではありません。私たちとあなたとが信頼関係を築き二人三脚で行うもの。充分にコミュニケーションをとり、美容整形を通してあなたの夢に近づけていきます。