ニキビ治療薬「デュアック」の効果や使い方、副作用を医師が解説。
最終更新日: 2024年12月10日 (火)
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ニキビの治療によく用いられている「デュアック」。
塗るタイプの薬で、特に赤ニキビなど炎症をともなうニキビの治療に効果的とされています。
今回はそんな「デュアック」の成分や効能、使い方などをご紹介します。
皮膚科などでよく処方されるお薬ですが、どのような特徴を持つ塗り薬なのかを詳しく解説。
他のニキビ塗り薬との違いや使う際の注意点、副作用についてもあわせてご紹介するので、是非参考にしてみてください。
デュアックの効果
「デュアック」は、過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)とクリンダマイシン(ダラシンTゲル)成分を含むニキビ治療薬。
1999年にメキシコで初めて承認され、その後世界80か国以上で使われるようになった塗り薬です。
一般名は「クリンダマイシンリン酸エステル水和物過酸化ベンゾイル」で、過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンの2つの合剤であることから、”二重の作用”を意味する”デュアルアクション(dual action)”から「デュアック」と命名されました。
日本では2015年3月26日に「尋常性ざ瘡(ニキビ)治療剤」厚生労働省より承認を所得。
国内初の配合剤として承認を受けました。
現在日本では一般的に「デュアック配合ゲル」という名前の、過酸化ベンゾイル3%、クリンダマイシン1%の配合剤として販売されています。
「デュアック配合ゲル」の作用は、主に以下の4つ。
- 抗菌活性作用
- 抗炎症作用
- 角質剥離作用
- 面ぽう減少作用
過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンを掛け合わせることにより、このようなさまざまな作用を実現しています。
過酸化ベンゾイルは、ニキビの原因となるアクネ菌や黄色ブドウ菌などの細菌に対し抗菌効果があります。
細菌の構成部分を酸化させる働きがあるため、菌の増殖を防ぎ、ニキビの悪化を防いでくれるのです。
また、クリンダマイシンはリンコマイシン系抗生物質のひとつであり、こちらもアクネ菌やブドウ球菌などに対して抗菌作用があります。
細菌のタンパク質合成を阻害することにより、ニキビの元となる菌の繁殖を抑制。
クリンダマイシンは「ダラシンTゲル」や「ダラシンローション」としてニキビ治療薬として処方されています。
ニキビの早期治療に効果的?
上記で述べたように、いくつかの作用を有しているのが「デュアック」の大きな特徴。
複数の作用でアプローチするためニキビの早期改善に効果が高いと言われています。
特に「デュアック」は、炎症をともなう赤ニキビの治療に効果的です。
赤ニキビは毛穴の中で過剰に増殖した細菌が炎症を起こしている状態のこと。
痛みや腫れを生じることもあり、さらに炎症が進んでしまうと化膿してしまう可能性もあります。
そんな赤ニキビの原因となっている細菌の増殖を抑制するのが、「デュアック」に配合されている過酸化ベンゾイルやクリンダマイシン成分。
赤ニキビが化膿する前に治すことで、ニキビ跡ができにくくする効果も期待できます。
また、過酸化ベンゾイルの角質隔離作用で、毛穴詰まりを改善してくれる効果も。
皮脂が毛穴に詰まり膨らんで見えることを「面ぽう」と呼ぶのですが、このようなニキビの一歩手前のような状態にも効果が期待できます。
過酸化ベンゾイルの角質隔離作用で、毛穴の詰まりを改善し、毛穴の中まで成分を浸透させることでより効率よくニキビを改善していきます。
これらの作用は、特に鼻や眉間、顎など角質ができやすい部分に適しています。
「デュアック配合ゲル」の抗菌効果については、現在のニキビ治療ガイドラインの炎症期における軽症、中等症、重症の3つすべてにおいて推奨度Aを受けています。
さらに臨床試験でも赤ニキビを2週間で60%の改善、12週間で90%の改善がみられるなど、効果の高い塗り薬であることが証明されています。
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デュアックの使い方
「デュアック」は洗顔料で顔を洗い、柔らかいタオルで水分を拭き取った後、清潔な状態の皮膚の上に塗布します。
ニキビ患部と周辺に広げるように指で優しく塗ります。
量の目安は顔全体で0.6グラムほど。
顔の半分が人差し指の第一関節分(約0.3グラム)となっているので、人差し指に出しながら塗ると適量がわかりやすいかと思います。
「デュアック」の塗布は1日に1回でOK。
ニキビがすでにできてしまっている部分はもちろん、ニキビができやすい箇所に予防として塗っても構いません。
「デュアック配合ゲル」は最初は若干白濁した色味をしていますが、5分ほど経つと透明に変化します。
塗布した後は、長時間紫外線に当たらないように注意。
強い日光に当たると赤みやかゆみが出やすくなるためです。
「デュアック配合ゲル」を使った後すぐに外出する場合は日焼け止めを塗ったり、日傘を使用したりと、外部ダメージをできるだけ防ぐようにしましょう。
ニキビは刺激を受けると悪化しやすいので、「デュアック」を塗る際も力を入れずに優しく塗るのがポイント。
厚塗りにしてもその部分だけポロポロと剥がれてしまうので、できるだけ薄く塗るようにします。
粘膜に入ると痛みや炎症を引き起こす可能性があるので、目や口はできるだけ避けて塗りましょう。
万が一付着してしまった場合は、素早く水で洗い流してください。
使用期間の目安は約3ヶ月。
個人差はあるもののほとんどの人が12週間使用すれば効果を実感できるため、3ヶ月使っても変化がみられない場合は薬を変更するなど、治療法の見直しが必要となります。
すぐに効果が出る薬ではありませんが、長く使用していても効果が実感できない場合は医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
注意点
「デュアック」には脱色・漂白作用があり、衣類や髪に付着すると変色を引き起こす可能性があります。
塗布した後は洋服や家具、髪、眉毛を触ったりせず、速やかに手を洗うようにしましょう。
また、「デュアック」は炎症を伴わないいわゆる白ニキビにも効果があるものの、できるだけ赤ニキビの治療用として使うことを推奨されています。
というのも、「デュアック」に配合されているクリンダマイシンには耐性があるからです。
耐性がついてしまうと、その後ニキビの治りが遅くなり、薬が効きにくくなります。
過酸化ベンゾイルが一緒に入っているため、クリンダマイシン単体の製剤である「ダラシンTゲル」や「ダラシンローション」を使うときよりも耐性菌は生じにくくなってはいるものの、赤ニキビがある程度改善されたあとは「デュアック」の使用を控えるようにしましょう。
併用注意
「デュアック」との併用が望ましくない製剤は以下の3つ。
- エリスロマイシン含有製剤
- 末梢性筋弛緩剤
- 外用スルホンアミド製剤
「デュアック」の効果が減弱する可能性があるだけでなく、末梢性筋弛緩剤は神経筋遮断作用が増強してしまう場合があります。
このような製剤を服用されている方は、医師に事前に伝えるようにしましょう。
保存方法
「デュアック」は冷蔵庫での保管が推奨されている薬剤です。
2~8度の中で保存し、常温や日光の当たる場所は避けるようにしましょう。
この温度で保存すれば3年以上の保管が可能となります。
30度の室温の中で保存した場合、クリンダマイシンに変化がみられることがあります。
ゲルの質感や匂い、塗り心地に異変を感じた場合はすぐに使用を中止し、新しい製品を使うようにしてください。
デュアックの副作用
「デュアック」の使用を始めると以下のような副作用が起きることもあります。
- 乾燥
- 接触皮膚炎(かゆみ、かぶれ)
- 紅斑(赤み)
- 皮剥け
- 皮膚剥脱(皮膚がカサカサになる、フケのようなものが出る)
これらの症状は5~9%の確率で発生。
特に塗り始めに現れやすくなっており、このような副作用は数週間使っていくと徐々に治っていきます。
あまりにひどい症状や数週間過ぎてもこれらの症状が続く場合は医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
さらに、稀なケースではありますが重篤な副作用も起こり得ます。
- 大腸炎
- 出血性の下痢
- 腹部疝痛
などです。
大腸炎は、
- 限極性腸炎
- 潰瘍性大腸炎
- 抗生物質関連大腸炎
などが報告されており、これらの重篤な症状が起きた場合はただちに使用を中止し、病院で検査を受けます。
また、過酸化ベンゾイルに対してアレルギーがある方も一定数おり、注意が必要です。
過酸化ベンゾイルのアレルギーでは、接触性皮膚炎が起こり、顔全体が腫れる、赤みが出る、かゆくなるなどの症状が発生します。
過酸化ベンゾイルを使った薬で、このような症状が出たことがある方は使用を控えるようにしましょう。
「デュアック」は妊婦や授乳中の方、小児への安全性は確認されていません。
使用は禁忌ではありませんが、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみの使用が勧められています。
妊娠の可能性がある方も使用はできるだけ避けるようにし、「デュアック」を使っている期間は授乳を控えるのが望ましいです。
他のニキビ治療薬との違い
「デュアック」以外にもニキビに効果的な塗り薬はいくつかあります。
主要な塗り薬について、それぞれの成分と効果、特徴についてまとめてご紹介します。
「デュアック」に配合されている過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンは上記で解説した通り、単体でも「ベピオゲル」、「ダラシンTゲル」「ダラシンローション」として商品化されています。
「ベピオゲル」は赤ニキビ、白ニキビどちらにも効果があり、顔以外のニキビにも使用が可能。
毛穴詰まりの改善にも作用し、幅広いニキビ治療に利用されています。
「ダラシンTゲル」「ダラシンローション」は特に赤ニキビの治療に効果的。
炎症をともなう赤ニキビを改善し、悪化を防ぎます。
こちらは耐性菌ができるため長期間の使用はNG。
短期間で症状を抑えるために使われる塗り薬です。
過酸化ベンゾイルを使ったニキビ治療薬は、「エピデュオゲル」も有名です。
こちらは過酸化ベンゾイルとアダパレンという成分を掛け合わせた製剤。
毛穴の詰まりやアクネ菌の増殖抑制に効果があります。
角質を除去する、いわゆるピーリング作用もあるので、人によっては痛みや乾燥を強く感じてしまうことがデメリット。
長期的な使用が前提で、他のニキビ治療薬にあまり効果が感じられなかった時に用いられることが多い塗り薬です。
また、アダパレン単体のニキビ治療薬「ディフェリン」もあります。
こちらは「エピデュオゲル」よりも刺激が少なく、かぶれやかゆみが起きにくいのがポイント。
毛穴の詰まり改善や白ニキビの治療に効果が期待できます。
「デュアック」はこれまでのニキビ抗菌外用薬を進化させた塗り薬として知られており、「急性炎症期」と呼ばれる炎症と面ぽうのニキビ治療におすすめ。
軽症、中等症、重症・最重症の3つのどの段階でも効果が期待できます。
一方で副作用が他の塗り薬に比べて強いのがデメリット。
使い方や使用量はしっかり守り、肌の様子をみながら使用することが大切です。
クリニックで処方される薬
デュアック配合ゲルは、医療用治療薬であるためドラッグストアや通販サイトでは購入ができません。
病院やクリニックで医師の診察を受け、処方してもらうようにしましょう。
デュアック配合ゲルの価格は、現在1312円(10グラムあたり131.2円)。
保険が効くため、対象の患者の負担は約400円となり、大体3割程度の価格で購入することができます。
ちなみに「デュアック」のジェネリック製品も現在は販売されていません。
個人で入手する方法として、「デュアック配合ゲル」とほぼ同じ成分が配合された「デュアック ジェネリック」という海外製品を輸入する方法があります。
この「デュアック ジェネリック」は、日本の「デュアック」は過酸化ベンゾイル3%であるのに対して過酸化ベンゾイル5%と少し濃度が高め。
代用品として使うことはできますが、使用は個人の責任となります。
今回はニキビ治療薬「デュアック」について詳しくご紹介しました。
「デュアック」は白ニキビと赤ニキビ両方に効果が期待できるものの、耐性の影響から主に赤ニキビの治療に使われています。
「ベピオゲル」、「ダラシンTゲル」「ダラシンローション」のいいとこ取りができる治療薬ともいわれています。
気になる方は、病院やクリニックで相談してみてください。
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