保険適用外のプラセンタ注射の効果や副作用などについて美容外科医が解説
最終更新日: 2023年06月12日 (月)

プラセンタとは、胎児を守り育てるために妊娠中につくられる「胎盤」とよばれる臓器のことです。
プラセンタは出産により役目を終えると対外に排出されます。
そんなプラセンタには、様々な作用があることが知られており、免疫力の向上や細胞の活性化など、体を強くするための作用を有しています。
健康面に対する働きはもちろんのこと、美容的な側面への効果に注目が集まっており、新陳代謝の活性化、肌細胞のターンオーバーの促進、抗炎症作用、美白作用や保湿作用など、肌や髪の細胞を、強く美しくする効果も期待できます。
そんなプラセンタは、化粧品として利用されている他、注射薬として医療や美容医療で活用されています。
そこで今回は、プラセンタを主成分としたプラセンタ注射について詳しく解説していきます。
プラセンタやプラセンタ注射に興味があるという人はもちろんのこと、最新の美容情報を手に入れておきたいという人も、ぜひ最後までお読み下さい。
プラセンタ注射とは?
そもそもプラセンタとは、「胎盤」を意味する言葉です。
胎盤そのものであるプラセンタを、注射薬として医療や美容目的で活用するのがプラセンタ注射なのですが、胎盤そのものを注入するのではなく、胎盤から抽出される栄養素を注入することを「プラセンタ注射」とよんでいます。
基本的なことですが、プラセンタ注射は胎盤を注射するわけではなく、胎盤から抽出される栄養素を投与する施術であるということを理解しておきましょう。
そんなプラセンタ(プラセンタ注射)に配合されている成分には豊富な栄養素が含まれています。
プラセンタ注射は、アミノ酸やタンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、核酸、酵素など、全身の細胞や組織が必要とする様々な栄養素をたっぷりと含んでいるため、プラセンタ注射の効能はとても幅広く、自律神経調節作用、基礎代謝向上作用、免疫賦活作用、抗疲労作用、抗アレルギー作用、血行促進作用、抗炎症作用、内分泌調整作用、強肝作用、肉芽形成促進作用、活性酸素除去作用、抗貧血作用、体質改善作用、抗突然変異作用など、非常に多くの効能を持つことが知られています。
疲労回復効果や抗炎症効果、細胞の新陳代謝を上げる効果などを持っていることから、医療だけではなく、美容医療においても重要な治療方法として位置づけられています。
プラセンタ注射薬としては「メルスモン」と「ラエンネック」と呼ばれる製品が臨床応用されており、これらは厚生労働省によって医薬品としても認可されているため、安心して施術を受けていただくことができます。
化粧品に使用されるプラセンタとの違い
プラセンタ注射薬として活用されているメルスモンやラエンネックでは、「ヒトの胎盤」から抽出されている成分が使用されています。
一方、コスメや化粧品などで使用されているプラセンタでは、胎盤という意味合いは同じですが、ブタやウマなどの動物の胎盤から抽出される成分が使用されていることが多く、プラセンタ注射で使用されているヒトの胎盤由来の成分とは異なります。
プラセンタという名前は同じでも、主成分そのものや成分の純度、配合量などは様々であるため、プラセンタ注射に限らず、プラセンタ関連の商品を使用する際には、しっかりと成分の詳細を確認することが重要です。
プラセンタ注射のリスクは?
プラセンタはもともとヒトの胎盤そのものであり、人間が必要としている栄養素を凝縮したものであることから、副作用やリスクの報告は少なく、安全性が高い施術であることが知られています。
比較的起こりやすいものとして、注射部位が赤く腫れたり熱を持ったりするなどの副作用が報告されていますが、いずれも軽症である場合が多く、副作用は一時的であることが知られています。
その他過敏症、悪寒、悪心、発熱、発赤、発疹等などの報告もありますが、大きな副作用(重大な副作用)は非常に稀であると考えられます。
プラセンタ注射を打ってはいけない人
「輸血を受ける患者さんのために平成18年10月10日より、過去にプラセンタの注射薬を使用したことがある方からの献血を、当面ご遠慮いただくことになりましたので、ご理解とご協力をお願いいたします。(参考:ヒト胎盤(プラセンタ)由来製剤について/日本赤十字社)」
プラセンタ注射自体は安全性の高い治療法(施術法)ですが、プラセンタ注射を行うことで、輸血ができなくなってしまうというデメリットがあります。
「万が一のために」クロイツフェルト・ヤコブ病とよばれる病気の発症を防ぐための予防的な措置であり、プラセンタ自体が危険ということではありません。
とはいえ、輸血などを考えているという人は、プラセンタの投与を避けるのが無難です。
プラセンタ注射の効果
ではここからは、より詳細なプラセンタ注射の効果や作用について紹介していきます。
プラセンタが持つ作用は多種多様であり、自律神経調節作用、基礎代謝向上作用、免疫賦活作用、抗疲労作用、抗アレルギー作用、血行促進作用、抗炎症作用、内分泌調整作用、強肝作用、肉芽形成促進作用、活性酸素除去作用、抗貧血作用、体質改善作用、抗突然変異作用などが報告されています。
厚生労働省によって保険医薬品としての使用承認が行われているのは、更年期障害および乳汁分泌不全(メルスモン)、慢性肝疾患の肝機能改善(ラエンネック)ですが、実際には美容や健康増進を目的として、多くの人が「自費診療」でプラセンタ注射による施術を行っています。
プラセンタに期待される作用一覧
プラセンタには下記に示すような様々な作用が期待されています。
- 美白
- 保湿
- コラーゲンの生成
- 細胞の増殖再生
- 血行促進
- 抗アレルギー作用
- 抗炎症作用
- 抗酸化作用
- 免疫賦活作用
- アミノ酸補給
- 疲労回復
など
そのため、保険適応である更年期障害や肝機能改善以外にも、慢性的な疲労や肩こり、腰痛、ひざの痛み、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー反応、花粉症、生理不順、生理痛、月経前緊張症、自律神経失調症などへの効果も期待されています。
その他にも、美容目的として、美肌や美白効果、髪を強く丈夫にする効果(抜け毛や白髪の改善)、細胞の代謝向上によるターンオーバーの促進などの作用が期待されています。
抗酸化作用をもっていることから、皮膚の老化予防やアンチエイジング効果があることも知られており、これがプランセンタが注目される理由でもあります。
プラセンタが白髪に効果があるってホント?
プラセンタ注射を打ち続けたところ、白髪の減少が見られたという症例が報告されていることから、プラセンタが髪の細胞にも影響を与えていることが推測されます。
とはいえ、「もともと髪の栄養が足りなかった人」が、プラセンタ注射によって十分な栄養が補充されたために白髪が改善したというケースも考えられるため、効果発現に個人差が大きいことも事実です。
特に白髪や薄毛などは遺伝的な影響が非常に大きく、栄養素の補給のみでは症状の改善が難しい場合も少なくありません。
プラセンタ注射によって白髪が改善するケースもあるという程度の認識に留めておくと良いでしょう。
プラセンタ注射と乳がんの関連性
プラセンタと乳がんの関連に関しては、さまざまな憶測や噂など、信憑性の薄い情報が飛び交っています。
憶測の一部として「プラセンタ注射を打つと乳がんになる」というものもありますが、この情報に根拠はなく、むしろ「乳がんの術後の副作用予防にプラセンタ注射が使用される」というケースすらあるのが実際のところです。
乳がんでは、ホルモン療法とよばれる女性ホルモンの働きを調節する治療が行われることがありますが、女性ホルモンのバランスを調節することにより、更年期障害に似た様々な副作用が生じることがあります。
この様な自律神経やホルモンバランスの乱れに対してプラセンタ注射が効果を示す場合もあり、乳がんの治療を行っている患者さんに対して補助的にプラセンタが使用されることもあります。
プラセンタの投与で乳がんになるというよりは、乳がん治療の一環としてプラセンタが使用されているという方が正しいのかもしれません。
プラセンタ注射の投与頻度とは?
最後に、プラセンタ注射の投与方法(投与頻度)と費用面に関して紹介します。
通常は週1回の施術を3〜4回(週)受けていただき、効果発現を確認していきます。
効果や治療目的にもよりますが、2ヶ月目や3ヶ月目から徐々に投与頻度を減らし、2週間に1回の投与などで治療効果を維持していくことになります。
プラセンタ注射は一度の施術で完了する治療方法ではなく、狙った効果を維持するために、適切な頻度で繰り返していく施術になります。
【保険適応外】プラセンタ注射の費用は?
更年期障害など一部の治療を除いて、プラセンタ注射を美容目的で使用する場合には、自費診療(保険適応外)となります。
そのため、施術を受けるクリニックによってプラセンタ注射の費用は異なります。
しかし、安いものが良いということではなく、費用が安い場合には投与量や配合量が少ないということもありますので、値段だけではなく、成分量や薬品名にも注意が必要です。
共立美容外科では、お一人おひとりの肌の状態を確認し、最も最適と思われる施術を提案させていただいております。
プラセンタの料金は下記になります。
- 1アンプル ¥3,410
- 2アンプル ¥5,500
※1アンプル:注射1回分
プラセンタ注射に限らず、美肌や美白、アンチエイジングにご興味があるという方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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