あなたは大丈夫?歯ぎしりがもたらす意外な悪影響。
最終更新日: 2024年09月30日 (月)
「なんだか最近頭痛が続いている……」
「疲れやすくなった気がする…」
というように「原因不明の頭痛や疲れ」に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
例えば、加齢による身体機能の低下や生活習慣の乱れも不調の原因となりますが、実は意外な「癖」が心身の不調を引き起こしていることがあります。
体調不良の要因となる癖とは、ズバリ「歯ぎしり」です。
そこで本記事では、歯ぎしりが体にもたらす意外な悪影響についてご紹介します。
「もしかしたら歯ぎしりをしているかもしれない」という方も、「自分は歯ぎしりなんてしていない」という方も、歯ぎしりによる悪影響が体に出ていないかどうか、確認しながら最後までお読みください。
そもそも「歯ぎしり」ってなに?
歯ぎしりは、寝ている時や日中に無意識で過ごしているときに、強い力で歯をすり合わせてしまう行為や、強い力で上下の歯を噛みしめてしまう行為のことを意味します。
重いものを持ち上げる時に歯を食いしばる場面を思い浮かべていただくと分かりやすいでしょう。このように歯を強く食いしばったり噛みしめたり、またその状態で歯をすり合わせることなどを全てまとめて「歯ぎしり」と呼びます。
歯ぎしりの種類
歯ぎしりは、医学用語では「ブラキシズム」と呼ばれており、ブラキシズムはその特性からいくつかの種類に分類されています。
グラインディング
グラインディングは、下の歯を強く噛んだ状態で横に滑らせこすり合わせる動きのことで、歯ぎしりの中でも最も歯に影響が大きい行為です。
歯ぎしり症状の中でも典型的なタイプで、歯が大きく削れてしまい、擦り減って平らな歯になってしまうのが特徴です。
ギリギリという音で周囲に指摘されることもありますが、音の出ないタイプのグライディング症状を患っている方も少なくありません。
クレンチング
クレンチングは、強い力で上下の歯を噛みしめたり食いしばる行為で、「食いしばり」や「咬みしめ」と表現されることもあります。
グライディングとは異なり歯をこすり合わせることはありませんが、音が出ない分、自覚している方は少ないです。
タッピング
タッピングは、歯ぎしりの中でも最もマイナーな症状です。
上下の歯を強く噛み合わせることで、カチカチと音が鳴る症状を意味します。
寒いときに歯がカチカチと音を立てる状態をイメージすると分かりやすいでしょう。
歯ぎしりの力は80kg!?
通常私たちが食事を取る際に使っている歯の力は、10kg~30kgと言われています。
それだけでも非常に大きな負荷がかかっていることに驚いてしまいますが、なんと無意識の歯ぎしりでは60kg~80kgもの力がかかってしまっているそうです。
時には負荷が100kgに到達することもあり、睡眠時には意識がある時には到底出すことのできないほどの力が発揮されていることになります。
【歯ぎしりの原因】どうして歯ぎしりをしてしまう?
非常に強い力で歯を噛みしめたり、こすり合わせてしまうのが歯ぎしりです。
どうしてこのような症状を起こしてしまうのでしょうか?
歯ぎしりのメカニズムは現代の医学でははっきりと解明されていませんが、以下にご紹介する原因が複合的に絡み合っているとされています。
歯ぎしりの原因① ストレス
歯ぎしりの原因でもっとも割合が高いと考えられているのが、ストレスです。
人間は強いストレスに晒されている際に、βエンドルフィンという神経伝達物質を分泌しようとします。
このβエンドルフィンは脳内麻薬とも呼ばれていて、鎮静効果や気分の高揚、幸福感といった効果が得られる、モルヒネの作用に似た働きをします。
βエンドルフィンは歯を食いしばることで分泌されることが分かっていますので、強いストレスを感じている方ほど、無意識化で歯ぎしりをすることでβエンドルフィンを分泌しているのではないかと考えられているのです。
歯ぎしりの原因② 歯並びや噛み合わせ、もしくは骨格のトラブル
上下の歯の噛み合わせが上手くいっていない場合や歯並びに不均衡な部分がある場合は、歯ぎしりをしてしまう方が多いことが分かっています。
1本だけ歯が高く生えている部分や、歯の並びがズレている部分、骨格の不均衡によって噛み合わせが上手くいかない部分を、無意識化で対処しようとしている人間の本能と考えられています。
歯ぎしりの原因③ 日中の歯ぎしり習慣
力仕事が必要になる仕事をしている方の場合、筋肉が食いしばりの時の形状を記憶してしまっており、無意識下においても歯を食いしばってしまう傾向があります。
重いものを持ち上げる際はもちろんのこと、集中してパソコン作業をしている際や会議中などに、無意識で歯を食いしばる習慣がついてしまわないよう注意が必要です。
歯ぎしりの原因④ 飲酒や喫煙、カフェインの摂取
お酒やタバコ、またコーヒーなどの嗜好品を日常的に摂取する習慣のある方は、睡眠の質が低下しやすいです。
これはアルコールを分解するために体内で生成される覚醒物質や、タバコやカフェインそのものに含まれる覚醒物質の影響によるものです。
睡眠時の歯ぎしりは、眠りの浅いレム睡眠の時を中心に起こることが分かっていますので、睡眠の質を高めることは歯ぎしり対策において非常に重要だと言えるでしょう。
歯ぎしりをすると、体にどんな影響があるの?
歯ぎしりの症状を放置してしまうと、歯はもちろんのこと体全体に色々な悪影響を及ぼします。
あなたが最近悩んでいる体の不調も、実は歯ぎしりが原因のトラブルかもしれません。
歯ぎしりの影響① 歯のトラブル
歯ぎしりで一番初めにダメージを受けるのは、やはり「歯」本体です。
100㎏近い負荷がかかり続けたことで、歯ぎしりで自分の歯を割ってしまった、という症例も報告されています。
歯が割れるまでのケースは非常にまれですが、歯ぎしりによって歯は2~3㎜ほどすり減って短くなってしまいますので、歯並びの見た目が悪くなってしまうのはもちろんのこと、突然歯が欠けてしまったり、削れてしまった部分から知覚過敏を発症する方も多いです。
昔から「歯はダイヤモンドと同じくらい硬い」と言われていますが、ダイヤモンド並みの硬度を持っているのは、歯を覆っているエナメル質と呼ばれる部分です。
エナメル質が欠けてしまい、柔らかい象牙質がむき出しになってしまった部分は非常に繊細ですので、痛みなども発症しやすくなってしまいます。
また、歯ぎしりによって自分自身の歯だけではなく、歯の詰め物が取れてしまったり割れてしまったという報告も多く寄せられています。
セラミック樹脂の詰め物はもちろんのこと、金属の詰め物であっても、毎日数十キロの負荷がかかる想定では作られていませんので、注意が必要です。
歯ぎしりの影響② 歯茎のトラブル
歯ぎしりによって直接のダメージを受けるのは歯ですが、歯を支える歯茎にも深刻な影響があります。
特に歯茎と歯の境目にある歯根膜という薄い膜でできたクッション材のような部分は、歯ぎしりによって強い力が加わり続けることで損傷してしまいます。
歯根膜は物を噛んだ時に硬さを判断するセンサーのような役割を担っていますが、歯ぎしりによって損傷してしまった歯根膜は、固いものを噛んだ時に痛みを感じるようになってしまうのです。
その他にも歯ぎしりによって歯が揺れ続ける環境が続くと、歯周病を加速させたり、歯肉炎や歯槽膿漏の原因となりかねず、歯茎の炎症を引き起こしてしまいます。
歯ぎしりの影響③ 頭痛や肩こり
歯を食いしばった際、顎の外側、耳と頬の間あたりを触ってみると、一部分硬くなっている筋肉があるでしょう。
この筋肉は「咬筋(こうきん)」といい、固いものを噛み砕くための筋肉です。
歯ぎしりによってこの咬筋に過剰な負荷がかかり続けると、咬筋とつながっている首や肩、こめかみなどの筋肉にも炎症が起こります。
その結果、頭痛や肩こりといった症状が起こりやすくなってしまいます。
慢性的な肩こりや、起床後の頭痛に悩まされている方は、もしかしたら歯ぎしりが原因かもしれません。
歯ぎしりの影響④ エラ張り
全く関係がなさそうに思われる「歯ぎしり」と「エラの張り」ですが、実は深い関係があります。
歯ぎしりを続けることで先述の咬筋に負荷がかかると、無意識のうちに咬筋のトレーニングを行っている状態になってしまい、咬筋が発達してしまいます。
鍛えられた咬筋は強度と容積を増し、顎の外側に向けて膨らんでいきますので、エラが貼って見える要因となってしまうのです。
これがいわゆる「咬筋主体のエラ張り」です。
「年齢を重ねるごとに、エラ張りが目立つようになってきた」という方は、歯ぎしりによって咬筋が鍛えられ、エラが張って見えている可能性がありますので、注意が必要です。
▼【コラム】エラ張りの原因は骨?筋肉?エラ張りの改善方法を美容外科医がご紹介
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歯ぎしりは歯のみならず、健康や美にとって悪影響!早めの相談を。
本記事では、歯ぎしりをしてしまう原因と、歯ぎしりが体にもたらす悪影響について解説しました。
現在の日本では約70%もの方が歯ぎしりの習慣があり、そのうち大半の方が「自分は歯ぎしりをしていない」と思っているという調査結果が出ています。
「年を重ねたせいだから仕方がない」、「疲れが溜まっているんだ」と諦めてしまっている体や美容のトラブルも、実は歯ぎしりが原因かもしれません。
歯科を併設している共立美容外科では、一人ひとりの歯ぎしりの状態を確認したうえで、適切なエラ張り治療やボトックス注射の施術をご提案します。
エラ張りやフェイスラインの大きさが気になるという方は、お気軽にご相談ください。
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