脇汗のボトックス注射の効果がいつから現れるか、そして持続期間について医師が解説
最終更新日: 2022年05月20日 (金)
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脇汗の量が多い、ワキのシミが気になる、汗が気になって腕を露出するようなファッションができない、などなど…、脇汗や汗の臭いによって日常生活を楽しめないと感じている人は少なくありません。
また、重度の多汗症の場合には、脇汗のせいで社会生活や人間関係に大きな悪影響を及ぼし、精神的なストレスを抱え込んでしまうこともあります。
近年では、脇汗に対するボトックス治療が一般的に行われるようになり、比較的簡単で手軽に脇汗を抑えることができるようになりました。
今回は、そんなボトックス治療の効果を解説しながら、ボトックス治療以外の治療選択肢についても紹介していきます。
ボトックスとは?
ボトックスとは、A型ボツリヌストキシンとよばれる毒素を医療に応用した製剤の名前です。
日本では自由診療向けにはアラガン・ジャパン社が発売しています。そして保険適応向けの場合は、グラクソ・スミスクライン株式会社が発売しています。
ボツリヌス菌という細菌から作られるタンパク質の一種がA型ボツリヌストキシンであり、この毒素を医療に使用することで、片側顔面麻痺などの治療薬として活躍しています。
ボトックスは細菌の産生する毒素ではありますが、医療で用いられている製品は安全性に配慮して作られており、副作用がほとんどないという特徴があります。
そんなボツリヌストキシンは、シワの除去効果、痩身効果、小顔効果、制汗効果など、様々な美容関連の効果を有しているため、片側顔面麻痺などの治療だけではなく、美容医療でも頻繁に使用されています。
脇汗に対するボトックスの効果
脇汗の原因はエクリン腺とよばれる汗腺(汗を分泌する細胞)にあります。
エクリン汗腺の量が多い人やエクリン汗腺の活動が活発な人は、脇汗の分泌量が多い体質になります。
つまり、エクリン腺の働きを弱める、もしくはエクリン腺を取り除くことで脇汗や多汗症の症状を解消することが可能になります。
脇の下にボトックスを注射することで、局所的に薬効を発現させることが可能です。
ボツリヌストキシンの作用によって、汗腺への神経伝達を遮断することで、発汗量を大幅に減少させることができます。
情報伝達を遮断することで発汗量を減少させることが出来ます。
夏前にボトックス注射を行うと、一番汗をかきやすいシーズンを快適に過ごすことができるため、脇汗や多汗症に悩んでいるという方は、夏前にボトックス治療を行うことをおすすめします。
なぜ脇汗が出るのか?
ボトックスの効果を理解するために、もう少し脇汗の詳しいメカニズムを紹介します。
脇の下には汗を分泌する組織である汗腺(かんせん)が多く存在しています。
特に、エクリン腺とよばれる汗腺が脇汗の原因となっていることが多く、体質的に汗腺が多い人ほど汗をかきやすいといえます。
また、アポクリン腺と呼ばれる汗腺から分泌される汗は、腋臭の原因となることが知られており、アポクリン腺が活発な人はわきがの症状が出現する可能性があります。
汗を人一倍多く分泌する症状を多汗症といい、多汗症の中でも、特に脇に集中して汗をかくタイプの人のことを腋窩多汗症と言います。
腋窩多汗症は日本人全体の約1割に認められる、比較的頻度の高い症状です。
そして、脇に存在する神経細胞が活性化すると、アセチルコリンとよばれる物質が放出されます。
このアセチルコリンがエクリン腺を刺激することで、エクリン腺は活性化し、最終的に汗を分泌します。
そのため、エクリン腺の働きを弱めるためには、アセチルコリンの働きをブロックすることが重要になります。
つまり、大もとに存在する脇の神経細胞を阻害することで、間接的に汗の分泌を抑えることが可能になります。
A型ボツリヌストキシンの作用機序
ボトックスの主成分であるA型ボツリヌストキシンは、神経の働きを弱める効果を持っています。
そのため、ボトックスを脇に投与することで、脇の神経細胞の働きが弱まり、アセチルコリンの分泌量が低下し、汗の量を抑制することが可能になります。
なんだか回りくどい作用なのですが、ボトックスを使用することで、確かな効果を発揮しながら、副作用を抑えた治療が可能になります。
ボトックスの治療効果はいつから?持続時間は?
ボトックスを注射した後、効果がいつからか出始めるか気になりますよね。
脇汗の抑制の効果の発現は比較的早く、個人差はありますが通常、注射後2−3日で効果が実感できます。
一方、約半年(4ヶ月から9ヶ月)でボトックスの治療効果は減弱してくるため、制汗効果を持続させるためには、おおよそ半年ごとに継続して注射を行う必要があります。
ボトックスは重度の腋窩多汗症に対して保険適応もある
脇汗を抑制するために使用されるボトックスですが、「重度の腋窩多汗症(読み方:えきかたかんしょう)」とよばれる症状の方に対しては、保険適応として治療を行うことが可能です。
保険適応で治療することで、一般的な病気やケガなどと同様に、一部負担金(通常は三割負担)のみでボトックス注射を受けることもできます。
しかし、脇汗や多汗症によって日常生活に支障が出ている場合にのみ、重度腋窩多汗症の診断を受けることが可能であるため、ボトックス注射を希望する全ての人が保険適応で治療できるわけではありません。
脇汗のボトックス注射の保険適応の料金や適応条件の症状については、こちらのコラムをご覧ください。
【コラム】脇汗のボトックスの料金は?保険適応の料金も医師が解説▼
ボトックス以外の脇汗の治療法は?
今回は脇汗に対するボトックス治療の効果について解説しました。
脇汗や多汗症の治療には、ボトックス注射以外にもミラドライやローラークランプ法、剪除法など様々な選択肢があります。
共立美容外科では、エクリン腺を直接取り除くような手術だけではなく、メスを使用しない施術も数多く取り扱っています。
▼共立美容外科の人気のわきが多汗症の料金や治療方法の詳細はこちら
▼共立美容外科の人気の脇のボトックスの料金や種類についての詳細はこちら
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