『次世代わきが多汗症治療』
共立美容外科 医師グループ著
第2章 多汗症とはなんでしょうか
多汗症とは?
わきがで悩む人で同時に多汗症を持っているケースはなんと60パーセントにも上り、二つは切っても切り離せない問題だと考えられています。そんな多汗症について今度は考えてみることにしましょう。
多汗症の種類
多汗症には全身に汗をかく「全身性多汗症」と部分的に多量の汗をかく「局所性多汗症」があります。
全身性多汗症は急性リウマチやバセドー病、結核、女性の生殖器障害などが原因で起こることもあります。ですから「今までなんでもなかったのに急に汗をかくようになった」という場合は要注意でしょう。
一方、局所性多汗症は手のひらや足の裏、頭部、脇の下など特定の部分に多量の汗をかく症状です。これは精神的なストレスなどによって自律神経のバランスが崩れたために起こることが多いようです。緊張したり興奮したりすると、洋服やぬぐったハンカチが異常に濡れるほど汗をかく、というのはこのためです。
手のひらや足の裏はエクリン汗腺しかないところですから、いくら多量に汗をかいても嫌な臭いを放つことはありません。ただ脇の下のようなアポクリン汗腺の密集部位でのたくさんのエクリン汗は、アポクリン汗を広範囲に広げる作用を持っているのでわきがの誘因になります。
「汗っかき」と「多汗症」の違い
俗にいう「汗っかき」と「多汗症」はまったく違うものです。ではまずわかりやすいように、汗が分泌されるメカニズムを説明しましょう。
発汗には二種類あり、一つは「温熱性発汗」といわれるもので、体温を調節するためにかく汗です。例えば食事として摂ったものが体内でエネルギーに変換され、このときに発する熱エネルギーを体外に発散するために汗が出ます。また、外気温の変化、運動などによって体に熱がこもってくると、上昇する体温を抑さえるため、より多くの汗を出し、気化熱の原理で体温を下げる働きをします。
「汗っかき」の人はこれらの変化に敏感に反応し、ちょっとしたことで汗をかいてしまう人のことをいうのです。また、肥満の人も体に熱がこもりやすいので発汗の量が多くなり、汗っかきになってしまいます。このような場合は生理的発汗なので心配はいりません。
もう一つは「精神性発汗」といわれるもので、緊張したり、驚いたりするときに起こるものです。「手に汗握る」とか「冷や汗をかいた」などというのはまさにこのことを指しています。
そして「多汗症」とはこの精神性発汗がもたらすもので、その発汗が常軌を逸した量になるものです。緊張すると脇の下や靴下が絞れるほど汗をかいてしまうような症状を「多汗症」と呼びます。
多汗症は精神的不安に起因しているものなので、「汗をかくのでは?」と気を使えば使うほど、症状を悪化させるやっかいなものです。
それとは別に、異常に寝汗をかいたり、なにをしたわけでもないのに多量の汗をかく状態は、身体がなんらかの異常を来たしていることも考えられますので十分に注意しましょう。
目次
- 第1章
- 知っておきたい わきがが起こるメカニズム
- 第2章
- 多汗症とはなんでしょうか
- 第3章
- わきがになる人ならない人の違いは?
- 第4章
- 超音波+ローラークランプ法について
- 第5章
- 共立式ローラークランプ法の実際の方法
- 第6章
- 多汗症治療にはボトックス(手術なしで治療)
- 第7章
- ローラークランプ法以外の手術のわきが治療の種類
- 第8章
- このようなわきが治療はおすすめできません
- コラム1
- 汗はなぜ臭う?
- コラム2
- 良い汗と悪い汗
- コラム3
- 汗腺を刺激して良い汗をかこう!
- コラム4
- ダイエットと汗
- コラム5
- 加齢臭ってなに?
- コラム6
- 新しい多汗症、脱毛後多汗症