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出版物紹介『次世代わきが多汗症治療』 共立美容外科 医師グループ著

『次世代わきが多汗症治療』
共立美容外科 医師グループ著

第7章 ローラークランプ法以外の手術のわきが治療の種類

『次世代わきが多汗症治療』 共立美容外科 医師グループ著

はじめに

わきがを根本的、徹底的に治そうと思ったら、手術しかありません。外科手術で汗腺類を取ってしまえば、一度破壊されたそれらは、再生することがないからです。

手術の方法には「切除法」「剪除法(せんじょほう)」「皮下組織掻爬法(ひかそしきそうはほう)」「皮下組織削除法」「吸引法」「超音波法」「PMR法(シュレッダー法)」などがあります。

また最近ではそれらを発展させたり、組み合わせたさまざまな手術法も開発され、日々、進歩しています。わきがの状態やあなたがどんな結果を求めるか、何に重点をおくかによって、手術方法が選べるわけです。

理想的な手術の条件をあげますと、
①多汗、わきが臭をとめる
②黄ばみをとる
③脱毛効果がある
④傷跡を残さない
⑤血管や神経を傷つけず、後遺症の心配がない
⑥手術時間が短く、痛みを伴わない
⑦回復が早く、日常生活に支障を来さない
⑧再発しない
などです。
などです。

これらの条件をもとに、代表的な手術法を検証してみましょう。それぞれの一長一短が見えてくるはずです。

切除法

わきが、多汗症治療の手術法としては最も歴史が古く、脇毛が生えている部分にそって、皮膚を皮下組織ごと紡錘型に切り取ってしまう方法です。

アポクリン汗腺、エクリン汗腺、皮脂腺、毛根を皮膚ごと根こそぎ剥き取るので、わきが、多汗症の治療の目的からすれば、完壁な方法です。しかしそれ以上のデメリットが大きいのです。

切り取った広範囲の切除範囲を両側の皮膚を引っ張って縫合することから、ひきつれがおこり、腕の上下運動に支障を来すことが多々あります。皮膚組織の血管や神経を圧迫し、腕がむくんだり、しびれたり、正常な動きを損なうこともあるのです。

そしてなにより忘れてはならないのは大きな傷跡が残ることです。平均して5センチ四方の切り取り部分になりますが、脇毛が広範囲に生えている人は切り取り部分が大きくなり、それだけリスクが高くなります。

切除法の傷跡

部分切除にしたり、W型、Z型に切除するなどの工夫もなされましたが、切除されない部分にはアポクリン汗腺、エクリン汗腺、皮脂腺、毛根がそのまま残ります。そのためわきが臭が残ってしまい、改良策としては失敗でした。

また、手術中の出血も多く、縫合した部分が完全に癒着し、完治するまでに1、2週間の安静、入院が必要です。ケロイド状に傷が残った場合は、皮膚を再び元の状態に戻すのは非常に困難です。

また縫合した部分が途中で離れてしまったりすると、完治までに数カ月を要することもあります。切除法は一時、多くの病院で行われましたが、今では一部の大病院の皮膚科でしか行われていません。

この手術の問題点に対する恐ろしさが一人歩きして「わきが、多汗症手術は怖い」という先入観を生む結果となったようです。

さまざまな切除法の傷跡

剪除法(せんじょほう)

脇毛の部分を全体的に切除するのではなく、脇のしわにそって、4、5センチの切り込みを数本入れ、切り口と切り口の間の皮膚をひっくり返して、アポクリン汗腺を目で確認しながら切り取ってゆく手術です。

この方法では縫合の際のつっぱりや、ひきつれは防げますが、やはりどうしても大きな傷跡が、数本残ってしまいます。脇全体に分布しているアポクリン汗腺を十分に除去するには大きく切らなければなりませんから、出血のリスクによる血腫を伴います。

しかも指で皮膚をめくったまま、アポクリン汗腺を一本一本切り取る作業は、熟練の技術と長時間にわたる高い集中力が必要です。手術も長時間に及ぶため、費用もかなりかかります。

この手術法の忘れてはならないもう一つの問題点は、わきが治療には効果的ですが、多汗症を治すのは難しい、ということです。わきが体質の人は同時に多汗症を患っている場合が多いのですが、多汗症に関係するエクリン汗腺は、アポクリン汗腺よりも皮膚の浅い真皮の部分にあります。

ですからこの方法でエクリン汗腺までキレイに除去しようと思えば、皮膚をかなり薄く削ぎ取らなければなりません。従って皮膚に穴が聞いてしまう可能性があるのです。また皮膚をめくって作業をするため、術後にうまく皮膚がつかずに循環障害による皮膚壊死の危険性があります。しかもタイオーバー(傷跡を圧迫して固定)が必要となります。

剪除法イメージ

皮下組織掻爬法(ひかそしきそうはほう)

皮膚をメスで切る手術法では傷跡が残る、治癒するまでに時間がかかる、という難点がありました。「だったらたくさん切らなければ?」という考えのもとに開発されたのが、この皮下組織掻爬法です。

脇の下に数センチの小さな切り込みを入れ、「キューレット」と呼ばれるスプーン状の器具を入れて、皮膚の裏側を削り、汗腺類を掻き出すという方法です。この方法は皮膚を切り取ったり、大きくメスで切らないですみ、目立つ傷跡が残らないという点では画期的でした。

しかし小さな穴から手探りで汗腺類を掻き取るために、汗腺類をしっかり取ろうとすると、周辺組織を傷つけ、内出血してしまう可能性が高く危険です。そしてそれを避けようとすれば、汗腺類が十分に取れず、期待したほどの効果が得られないということになってしまいます。ですからキューレットの刃の切れ具合の調整や、力の入れ方など、非常に難しい手術といえます。

また、スプーン状の大きな器具で皮膚を剥離するので、手術後皮膚がつきづらく、回復までに時間がかかる難点があります。剥離した皮膚を生きたまま元に戻すために、手術後は圧迫して固定(タイオーバー)するのですが、この圧迫が十分でないと皮膚が壊死する恐れも持っています。壊死の程度によっては大きな傷跡が残ります。

皮下組織掻爬法イメージ

皮下組織削除法(ひかそしきさくじょほう)

掻爬法のキューレットのかわりに専門の器具を用いた手術法です。この器具はハサミのような形をしており、一方の刃の部分に皮下組織を掻き取る鋭い刃が、もう一方にローラーが取りつけてあります。

脇の下の皮膚を1センチほど切開し、刃のついた部分を皮膚下に差し込みます。そして皮膚をハサミで挟みこむように、ローラー部分を度膚表面にあて、刃で裏側の汗腺類を均一に削ぎ取る、という方法です。

これですと掻爬法のように、いちいち力加減を調整しなくてすみますので、かなり正確に、皮膚を薄く残して皮脂類を掻き取ることが可能になりました。アポクリン汗腺だけでなく、エクリン汗腺や皮脂腺までも取り除くことができるのです。

しかしこの方法では、器具の挿入口から、器具の及ぶ範囲にしか施術をすることができないので、皮膚に数カ所の切り口を開けることが必要です。また、広範囲にわたって皮膚を薄く削り取ってしまうために、皮膚表面に黒ずみが残りやすいという問題もあります。

複雑な器具を使うため、医師には熟練が必要で、未熟な技術だとやはり皮膚に穴を開けてしまうことがあります。手術後、約3日の入院と、1週間ほど脇を固定し、圧迫しておく必要があります。皮膚壊死のリスクもあり、傷跡が残ることもあります。

皮下組織削除法イメージ

吸引法

皮下組織削除法で使用するような難しい器具を使わずに、かつ、間違いなく行われる手術はないか、という見地から開発されたのが吸引法です。美容外科の「脂肪吸引」の技術をわきが、多汗症の手術に応用したものです。

脇に直径数ミリの小さな穴を開け、そこから「カニューレ」と呼ばれる細い管を差し込んで、アポクリン汗腺、エクリン汗腺、皮脂腺を吸い出す方法です。細い管を挿入するだけで、皮膚を切開しませんので傷跡の心配がありません。体への負担が軽く、皮膚が元に戻るのも早いのです。

そしてなにより術後の入院の必要がありません。したがって日常生活への影響もほとんどなく、皮膚も美しい状態を保つことができますので、現在では多くのクリニックで採用されている方法です。

しかしこの吸引法では繊維組織にシッカリと根づいた汗腺類を、完全に除去するのは難しく、十分な治療効果があげられない場合が多く、「手術をしたのに臭いが残る」といったことが多いようです。

また、アポクリン汗腺より浅い皮膚に位置するエクリン汗腺の除去は非常に困難で、多汗症にはあまり効き目がないのが実状のようです。

吸引法イメージ

超音波法

吸引法に取り残しが生じるのなら、もっと強力にしよう、という考えから、吸引法に超音波の持つ破壊力をプラスした方法です。

脇に直径数ミリの小さな穴を開け、超音波発生器を差し込んでアポクリン汗腺、エクリン汗腺、皮脂腺を手作業で掻き取るのではなく、超音波の振動エネルギーで破壊し、吸引するという手術法です。吸引法と同じように傷跡の心配はほとんどありません。

また発生させる超音波の周波数や出力を調整することで、大事な神経や血管を傷つけることなく、破壊すべき汗腺類だけを識別して、粉砕することができます。出血も少なく、手術後の血腫形成や、皮膚の壊死の心配もほとんどありません。ですから体へのストレスも少ないといえます。

通院や入院の必要もなく、手術時間も30分前後と短くてすみます。ただ、広範囲におよぶわきが臭の場合、取り残しが生じる場合があります。また、超音波法による、ヤケド、組織内水腫などのトラブルも多数報告されています。これは不適当な出力や周波数の超音波を長時間にわたり組織にあてていると起こるものです。

ですから医師の知識と技術が非常に重要です。クリニック選びはくれぐれも慎重にした方が良いでしょう。

超音波法イメージ

PMR法(シュレッダー法)

PMR法は吸引法を応用した手術法です。脇に数ミリの穴をあけ、まず始めに吸引法の要領で汗腺組織を吸い出します。

しかしこれだけでは従来の吸引法のように取り残しが起こってしまいますので、次に特殊な4ミリの程度のカニューレを皮下に挿入します。これで細部までの汗腺組織を取り除いていくのです。

このカニューレの先は電気髭剃りの要領に似た仕組みになっており、汗腺類を除去する際、皮膚組織を傷つけることなく出血を最小限に抑えられる仕組みになっています。そして最後に特殊な器具で汗腺組織の取り残しがないかを目視で確認して終了です。

ただこの器具では、有効なレベルまで汗腺類を削り取るコントロールがつけにくく、削り取りすぎて皮膚壊死を起こす例も少なくありません。

マイクロレーザー法

レーザーを直接照射してアポクリン汗腺、エクリン汗腺を燃焼させ、除去する方法です。メスで切らずに、直径1ミリの注射針状のヤグレーザーと呼ばれるレーザーの先端を毛根部に差し込んで、汗腺を直接照射するので、傷跡が残る心配はありません。

手術時間は両ワキで約20分と短く、その後12時間ほどワキを固定します。翌日からは入浴もでき、支障なく日常生活に復帰できます。腫れも24時間ほどで完治します。

また、レーザー先端を差し込む際の痛みは、麻酔を使用して抑えることができるので、無痛治療が可能です。しかし、この方法はヤケドの心配があり、また、一回で効果を得るには不十分であるようです。

他の方法との併用が必要となりますので、皮膚組織に更に負担をかけることになります。この方法はあまりお勧め出来ません。

マイクロレーザー機械

その他のわきが・多汗症治療の手術方法

現在ではさまざまなクリニックでそれぞれ種々の方法が行われています。それらはすべて、「切除法」「剪除法(せんじょほう)」「皮下組織掻爬法(ひかそしきそうはほう)」「皮下組織削除法」「吸引法」「超音波法」「PMR法(シュレッダー法)」の手術法を改良したり、組みあわせたりしたものであるといえます。

たとえば削除法、吸引法、超音波法の3つを組みあわせた方法や、確実に目で確認しながらが基本の剪除法を進化させた方法などがあります。

それぞれに一長一短はあるものですから、自分の症状と照らしあわせ、最も適した方法を、医師と相談し、じっくり選ぶことが大切です。

目次

共立美容外科

ローラークランプ法以外の手術のわきが治療の種類|口コミで評判の【共立美容外科】のページをご覧の皆様へ

このページは2024年4月に最終確認をしています。
このページでは、ローラークランプ法以外の手術のわきが治療の種類|口コミで評判の【共立美容外科】についてご確認頂けます。共立美容外科の美容整形は、一人一人大切にコミュニケーションをとりながら、医師や看護師が一人一人思いやりを持って、患者さまの立場に立った美容外科手術を行うことを信念としています。共立美容外科ではわきが治療・多汗症治療を「特許取得の超音波+ローラークランプ法」や「超音波+ミラドライ」、そして「ボトックス注射」などでおこないます。共立美容外科、開院当初から日々わきが多汗症治療に対し真摯に向き合っている1989年に開院し、約30年に渡り美容医療を提供させていただいてきた、全国に26院ある、美容整形クリニックです。わきが・多汗症治療はドクターひとりで行うものではありません。私たちとあなたとが信頼関係を築き二人三脚で行うもの。充分にコミュニケーションをとり、美容外科治療を行います。